緑内障は治らないって本当?視野が戻らない理由と治療の考え方を徹底解説
「緑内障は治るのか」「このまま失明してしまうのではないか」――
こうした疑問や不安は、緑内障と告げられた瞬間、多くの方が感じるものです。
緑内障は、しばしば「治らない病気」と説明されます。しかしその説明だけでは、治療の目的やゴールがどこにあるのかが十分に伝わらず、不安を抱えたまま通院を続けている方も少なくありません。治療を続けていても、「今の治療を続けて本当に失明しないのか」という疑問がくすぶっているケースが多いのが現実です。
この記事では、「緑内障は治るの?」という素朴な問いを出発点にして、緑内障治療について、患者さんにぜひ知っておいていただきたい治療の考え方や具体的なポイントを交えながら、眼科医の視点から整理してお伝えしていきます。。
目次
緑内障は治る?治らない?|単純に答えられない理由
「緑内障って治るのですか?」―― 緑内障と診断されたとき、多くの方がまずこの疑問を抱かれます。「治るのか」「どれくらいで治るのか」などの疑問は、人が病気になったときに、まず頭に浮かぶ疑問と思います。そこで、医師は「治ります」とお答えして患者さんに安心していただくことで信頼を築きながら、それをベースに治療を進められます。
しかし、緑内障は、そのように答えてから治療を進めることが難しい病気なのです。緑内障であることを告知したとき、あるいは緑内障の治療を開始するときに、どのように緑内障を患者さんに伝えるかは、その患者さんが生涯にわたり適切に治療に取り組めるかどうかに大きな影響を持ちます。
「緑内障は治るのか?」という質問にどう答えているか
Q:緑内障は治るのでしょうか?
ひとことで答えるのは簡単ではありません。ありのままに「治らない」と答えると、
患者さんは強いショックを受け、
「いずれ失明してしまうのではないか」「治療をしても意味がないのではないか」
といった不安や誤解を生みかねません。一方で、「治る」と答えるのは医学的に正しくありません。
実は、緑内障は「治る」「治らない」という二択の言葉では表せない病気なのです。
A:緑内障を専門に診療してきた眼科医として、次のようにお伝えしています。
「緑内障は、元に戻す治療はできません。
しかし、進行のスピードをしっかり抑えて、
一生のあいだ生活に困らない見え方を守ることは十分に可能です。
それができれば、治療は成功だと考えています。」
緑内障は「治らない病気」ですが、正しく治療すれば「一生困らない見え方」を守ることができます。

※ 緑内障治療の目的は「視野を元に戻す」ことではなく、「これ以上失わないよう守る」ことです
なぜ緑内障は治らないのか|視野が元に戻らない医学的理由
残念ながら、緑内障でいったん欠けた視野は、元にはもどりません。緑内障とは、視覚情報を脳へ伝える役目の網膜神経線維が1本1本失われていく病気です。
網膜神経線維は、インターネットに例えるなら光ファイバーに相当します。網膜神経線維を失った部分は、脳へ情報が伝わらないので視野に見えにくいところが現れます。視野感度が低下すると言います。
現時点では、失われた網膜神経線維を再生させることはできません。このため、緑内障で欠けた視野は治らないのです。
緑内障は進行する病気|放置するとどうなるのか
緑内障の特徴のひとつは、進行するとことです。治療しないと視野障害は進んでいくことがほとんどです。先天的に、あるいはケガなどで視野が欠ける場合はありますが、進まないことがほとんどですから、今ある視野欠損に適応して生活を送ることができます。
一方、緑内障は進むため、治療により進行にブレーキをかけないと、今より数年先は、もっと視野障害が悪くなっています。そのまま放置すると、状態により異なりますが、10年先、20年先、30年先には、今ほど便利で安全に暮らせない可能性が高まります。
緑内障の進行は年単位
悲観的なことばかり書いて叱られるかもしれませんが、安心できることもあります。緑内障の進行は年単位と言っても間違いないゆっくりしたスピードです。このため、きちんと戦略を立てて治療していけば目を守るために必要な時間的余裕があるのです。
眼圧が下がれば進行にブレーキがかかる
今度は安心できる確かな事実をお伝えします。【高血圧とは全く異なる緑内障の眼圧の考え方】でお伝えしましたように、眼圧を十分に下げることで緑内障の進行に強いブレーキがかかり、スローダウンさせることができます。
繰り返しになりますが、進行がスローダウンして、自分が生きている間は、歩いたり、階段を下りたり、運転したり、スマホを見たり、お友達の顔を見ながらおしゃべりしたりと、これまで当たり前に行ってきたことを自分の目で安全に続けることができたら、緑内障に勝ったといえるのです。
緑内障は治らないけど、治療により暮らしや仕事に必要な視機能は守ることができます。
緑内障の治療が難しい理由|見つけにくく、判断しにくい病気
しかし、緑内障にはやっかいな特徴があります。この特徴を理解して克服するほど、勝算は向上します。
眼圧を下げれば緑内障にブレーキがかかるという確かな事実があるにもかかわらず、このやっかいな特徴のために緑内障から目を守り切れていないという現実があります。この特徴を理解し立ち向かうことが、緑内障に勝つために必要なのです。その特徴を以下にまとめます。
自分では早期発見できない
緑内障の大きな特徴のひとつは、視野が欠け始めても本人がほとんど自覚できないことです。
実際には、視野障害がかなり進行してから初めて異変に気づくケースが多く見られます。
その理由として、次のような点が挙げられます。

見えにくくなる場所が「意識して見ていない部分」から始まる
人は、読書やスマホ操作などで注視している中心の視界が見えにくくなるとすぐに気づきます。しかし、緑内障による視野障害は、意識して見ていない視野の周辺部から始まることが多く、中心の見え方はかなり進むまで保たれるため、異常に気づきにくいのです。
両目で見ているため、片方の異常を補ってしまう
緑内障による視野障害は、左右の目で同じように起こるとは限りません。片方の目に視野の欠けがあっても、もう片方の目が補ってしまい、「両目では普通に見えている」と感じてしまうのです。
脳が「見えない部分」を自動的に補ってしまう
たとえ視野の一部が欠けていても、脳には、周囲の映像から欠けた部分を補って見せる「視覚補完機能」があります。
この働きにより、本人は「見えていない場所がある」こと自体に気づかずに生活できてしまいます。その結果、自覚症状が出たときには、すでに進行しているというケースが少なくありません。
安全な眼圧が人により大きく違う
多治見スタディーと呼ばれる疫学調査によると日本人の緑内障の72%は眼圧が正常な「正常眼圧緑内障」です。つまり、緑内障は眼圧が正常でも発症する病気であり、眼圧が正常だから大丈夫とできない病気なのです。
もう少し、詳しく説明します。正常とされる眼圧は10mmHg~21mmHgの範囲です。人はだれでも、上限の約2倍にあたる40mmHgくらいのとても高い眼圧が数年続けば誰でも緑内障になると考えられます。
しかし、上限の21mmHgを少し超える23mmHgくらいだと緑内障にならない視神経が強い人がいる一方で、12mmHgと低くても緑内障になる人もいます。安全な眼圧範囲、あるいは危険な眼圧は人によって大きく違うことがわかります。
視野障害進行がゆっくりである
これは、一見良いことと思われると思います。もちろん良いことです。しかし、視野障害がゆっくりであることは、治療においてさまざまな問題を生む原因にもなっています。その問題とは何か挙げてみましょう。
治療効果を見極めるのに何年もかかる
緑内障の治療は、後述するように、視野検査により進行のスピードを見極め、治療の強さ(使用する点眼薬の数や手術など)を加減します。視野障害の進行のスピードにより、点眼薬を増やすかどうか?手術が必要かどうか?という大切な判断を行います。緑内障の治療の本質は、治療強度の最適化と言っても過言ではありません。これを行うためのもっとも効果的な指標が視野障害の進行スピードを知ることです。ところが、視野検査は、睡眠不足など体調による影響を受けやすく、結果にばらつきが出やすい検査です。このため、年2回行っても、進行のスピードがわかるのに4~6年かかると言われています。
転居などで視野検査が散逸しやすい
緑内障の治療にとって、視野検査データは「命」と言えます。ところが、日本はイギリスのGeneral Practitionerのような制度がなく、患者さんの医療情報は医療機関ごとに保管されるため、一元的に保管・管理することができません。このため転勤などにより眼科を次々と変わるうちに視野検査の結果が散逸するケースが目立ちます。視野検査データを散逸させない唯一の方法は、医療機関を変わるたびに、視野検査の全データ付きの紹介状をもらうことです。
高齢という問題
進行がゆっくりであることから、緑内障の治療は生涯にわたり継続することになります。やがて高齢期に入ります。個人差が大きいのですが、点眼を忘れる、点眼を失敗しやすくなる、足がわるくなり通院困難になる、など高齢期特有の問題が適切な治療を妨げるリスクが高まります。患者さんの周りにいるご家族や老健施設等の職員の方々のサポートがきわめて重要になってくるフェーズといえます。
緑内障の治療で最も大切な3つのポイント
ここまでで、緑内障は「治る」、「治らない」で簡単に片づけられない病気であることを感じていただけたと思います。「複雑だなあ」と思った方もおられると思います。だからこそ、眼科医の伴走が大切なのですが、患者さん自身も治療に取り組む軸を自分の中にお持ちいただきたいと願います。実際に走るのは患者さんだからです。
緑内障は、治療期間が何十年にも及ぶことが多いため、一人の同じ眼科医に診てもらうことは稀で、さまざまな眼科医の診察を受けることが多いです。医師により言葉や説明に違いがあり混乱されることもあるでしょう。だからこそ、自分のなかに治療の軸を育てていくのです。
そこで、緑内障に勝つために理解を深めたい3つの鍵をお伝えしたいと思います。以下の3つの鍵のなかで、患者さんの治療軸にもっとも組み入れていただきたいのは、視野障害の進行スピードに基づく治療の最適化です。
- Point 1:早期発見
- Point 2:病型に応じた適切な初期治療
- Point 3:視野障害の進行スピードに基づく治療の最適化
Point 1:早期発見
前述の通り自分で緑内障を早期発見することは困難です。このため、眼科で緑内障検査を受けるきっかけが重要になります。
なぜ早期発見が大切か?

緑内障の早期発見が大切なのは、発見が早ければ早いほど、網膜神経線維はより多く残っているからです。
緑内障に勝つためには、ご自分の寿命の最後の時まで、網膜神経線維が生活に困らない程度に残っていることが必要です。
残っている網膜神経線維が多ければ多いほど、より長く保たれるのはわかりやすいですね。砂時計のイメージ図を見ていただくと直感的にご理解いただけると思います。
眼科での眼底検査が早期発見の鍵
最近は、OCT検査の進歩のおかげで、視野検査に異常が出る前の超早期の段階で緑内障が発見されることが増えています。
OCTは、ほとんどの眼科で導入されています。つまり、眼科で検査を受ければ、かなり早期に発見できる可能性が高くなっています。
*画像検査
*近視も緑内障も黄斑疾患も見える眼底検査OCT、ご存じですか?
眼科へ行くきっかけは?
みなさん、忙しいし、なんの症状もなければ眼科に行くのはなかなか実行できませんね。眼底写真付きの検診を受ける機会のある人は、そこで「視神経乳頭陥凹拡大」を指摘され眼科受診を勧められることがあります。これは眼科受診のきっかけになりますね。
コンタクトレンズを作りに眼科にかかるときに、眼科医が目の奥を見て緑内障を疑い、OCTを含む眼底検査を勧めることがあります。これも良いきっかけです。
検査を行ってみると、緑内障でないという結果になることがありますが、緑内障が発見されることも多いです。眼科へ行くきっかけがない場合は、この記事をお読みいただき眼科受診の大切さを理解して、受診の気力を奮い立たせていただきたいと思います。
何歳で眼科に行くべきか?
次の問いは、「何歳で緑内障検査を受けるべきか?」でしょう。日本緑内障学会を始めとする眼科関連団体は、40歳を過ぎたら緑内障のスクリーニング検査を受けることを推奨しています。その根拠は、調査で40歳から緑内障の罹病率が上がることがわかったからです(多治見スタディー)。
ただし、近視が強い人(-6ジオプターより強い人)や家族(特に親・兄弟)に緑内障の人がいる人は、30代で緑内障による視野障害が見つかることが少なくありませんので、もう少し早く、具体的には30代前半あるいは20代で一度検査をしておくと安心です。
Point 2:病型に応じた適切な初期治療

緑内障は、いろいろなタイプ(病型)がありますが、いずれも眼圧を下げる治療であることは共通しています。眼圧を下げることで網膜神経線維の減少にブレーキをかけます。砂時計の通り孔を細くするイメージです。
しかし、緑内障のタイプにより初期の治療アプローチは異なります。このため、適切な診断を行い、適切な初期治療を行うことが大切です。もちろん、これは眼科医の仕事ですが、患者さんも理解のベースとして大枠を知っていただくとよいでしょう。
3つに分けるとわかりやすいと思います。
1. 眼圧が高い原因が明らかな高眼圧緑内障
眼圧が上がっている原因がはっきりしている緑内障の場合は、まずその原因を取り除いて眼圧を下げることが第1選択治療になります。
他の目の病気やステロイドにより眼圧が上昇して起きる続発緑内障や房水の出口が狭まることが原因で眼圧が上がる原発閉塞隅角緑内障などがこれに当たります。
このタイプの緑内障は次の2ステップで治療を進めます。
- 高眼圧の原因を解除する
眼圧が上昇した原因がステロイド使用なら、その使用を止めます。止められない場合はケースバイケースで点眼治療または手術を行います。眼圧上昇の原因が、原発閉塞隅角緑内障の場合は、白内障手術を行い房水の出口を広げます。房水の出口の癒着が進んでしまった場合は、癒着をはがす緑内障手術を同時に行います。若年者や白内障がない場合は、白内障手術ではなくレーザー周辺虹彩切開術を行い、黒目の縁に小さな穴を開けて急性緑内障発作を予防します。
- 追加治療
原因が解除されて眼圧が正常化し、視野障害がない場合は、追加の治療をせずに様子を見ることができます。しかし、原因解除だけでは眼圧が正常化しない場合、あるいは、眼圧が正常になっても、いったん生じた視野障害が進行する場合は、点眼薬や手術でさらに眼圧を下げます。その後は、後述の「視野障害の進行スピードに基づく治療の最適化」で説明する長期的な治療へ移行していきます。
2. 原因不明の高眼圧緑内障
眼圧が高い原因がはっきりしない緑内障を原発開放隅角緑内障といいます。この場合は、まず点眼薬またはレーザー治療で眼圧を下げます。そして、同様に「視野障害の進行スピードに基づく治療の最適化」にある長期的な治療へ移行していきます。
3. 正常眼圧緑内障
眼圧が高くない、すなわち正常範囲なのに緑内障になる正常眼圧緑内障が全緑内障の72%と大部分を占めることはすでにお伝えしました。このため、緑内障の治療というと、この正常眼圧緑内障の治療として語られることが多いです。正常眼圧緑内障の治療は、上の2つのタイプのように、「眼圧が高いから下げる」という考え方が成立しません。そこで、どう考えるかというと、治療を始める前の眼圧が危険な眼圧と考えます。その危険な治療前眼圧から20~30%下げると安全な眼圧になり、視野の進行に大きなブレーキがかかることがわかっています(米国で証明)。理想は30%下げることです。具体的には、治療前に20mmHg前後の人は、治療により14mmHg前後以下に下げると成功です。治療前14mmHg前後の人は10mmHg前後以下に下がると成功です。目標となる眼圧は、個人差が大きいことが分かりますね。治療は点眼治療が主で、レーザー治療も用いられます。このように、治療前の眼圧から20~30%下げることができたら、治療が軌道に乗ったことになり、あとは、同様に後述の「視野障害の進行スピードに基づく治療の最適化」にある長期的な治療へ移行していきます
Point 3:視野障害の進行スピードに基づく治療の最適化

前述した病型ごとの初期治療を戦い抜き、安定したら(軌道に乗ったら)、ここからが長きにわたる緑内障治療との付き合いの始まりと言えます。ここで「緑内障は治らない」という事実の重みが現れてきます。
このフェーズは、多くの場合、けっして激しい闘いではありません。すでに治療により眼圧は下がっており、視野障害の進行に一定のブレーキがかかっているからです。
ただし、ここで重大な疑問が存在します。「このままの治療を続けていけば、一生の間、生活に必要な視野を守り切れるだろうか?」という問いです。これは、眼科医にもすぐわかりません。神のみぞ知る事柄です。しかし、人は予測する技術を生み出してきました。その技術こそが、視野検査による進行予測なのです。
実際はどのように視野進行のスピードを予測するのか
視野検査を年に2~3回行うと、数年で進行のスピードが読めてきます。「進行がきわめてゆっくりで、このままの治療を継続すれば120歳まで生活に必要な視野は保たれることが予想されます。」とか、「今の治療のままでは、80歳くらいで下方の視野障害がかなり進み階段を降りるのが怖くなる可能性がでてきました。点眼薬を増やしましょう。」などと判断することが可能になり、最適な治療へ近づいていくことができるのです。
繰り返しになりますが、このフェーズは、すでに治療が軌道に乗っていますので慌てる必要がないことを忘れないでください。「視野が一生もつには今の治療で十分か、強化したほうが良いのか?」を問い続けながら、ゆっくりと時間をかけて進めていくのが、緑内障治療の王道です。過度に不安にならず、治療を日々の暮らしや仕事のなかに溶け込ませていくことが大切です。
緑内障と日常生活|仕事・運転・安全をどう守るか
忘れられがちなのは、視野障害が患者さんの日常生活やお仕事に及ぼしている影響です。「治らない」からこそ、今ある視野障害から生活やお仕事を守り、身の安全をはかる工夫や知恵が必要です。
自分の視野障害のパターンを知り生活を安全に
視野障害は患者さんごとに、多様なパターンがあります。「障害部位が、上方中心か?下方中心か?両方か?」、「視野障害は左方が強いか?右方が強いか?」、「視野障害が中心に近いか?中心から離れているか?」などさまざまです。そこで、ご自分の視野障害を具体的に知ることが重要です。例えば、欠けている場所が下方なら階段や歩行中の段差に注意せねばなりません。左方の視野が欠けているなら、運転の左折時には注意が必要です。
特に問題になるのは、先述したように、視野が欠けていることを自覚しにくい特徴があることです。先日も、高速の入り口で、クッションドラムにぶつかりそうになり、見えていないところがあることに気が付いた」と話す40代の男性患者さんがおられました。眼科を受診したら視野検査の結果をよく見て、ご自分の視野障害のパターンを把握し、ご自分の日常生活や仕事において、どのようなリスクがあるかを想像することが大切です。そうすることで、安全に日常生活を送る知恵を身に付けていきましょう。
ロービジョンケアも忘れないで
これをお読みになられた方が、すでに重い視野障害で生活に支障がでている場合はどうしたら良いでしょう?もちろん、治療の最適化と視野障害のパターンを把握して安全にお暮しいただくことは同様ですが、それだけでは足りないことが多いです。そこで大事になるのが、ロービジョンケア※です。教育やその人に合った拡大鏡などの道具をうまく使うトレーニングで、残っている視野を有効に使って、生活の質を維持していきます。
※ロービジョンケア:視覚障害によって日常生活に支障をきたしている人に対し、医療・教育・職業・社会・福祉・心理といった多方面から行う支援の総称です。視力や視野の回復が難しい場合でも、残された視機能を最大限に活かすための方法や、生活の質を向上させるための補助具の選定・使い方指導、社会福祉制度の活用などが含まれます。
緑内障治療は誰に診てもらうべきか|かかりつけ医の重要性
治らない病気である緑内障こそ、あなたの緑内障の状態を理解してもらっている、かかりつけ眼科医が重要です。緑内障の長い闘いに寄り添ってくれる眼科医と巡り合っていただきたいと思います。
この記事を執筆した医師

株式会社Personal General Practitioner代表取締役社長/医学博士・眼科専門医
板谷 正紀
京都大学医学部卒業。以後20年間、京都大学および米国ドヘニー眼研究所で網膜と緑内障の基礎研究と臨床、手術に取り組む。 京都大学では眼底の細胞レベルの生体情報を取得する革新的診断機器「光干渉断層計(OCT)」などの開発と普及に貢献する。 複数の産学連携、医工連携プロジェクトを企画推進し、2003年文科省振興調整費「産官学共同研究の効果的推進」に選ばれる。 医師でのキャリア35年。増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症、緑内障などの難症例の手術治療を得意とする。
英語論文148報(査読あり)
著書『OCTアトラス』、『OCT Atlas』、『Everyday OCT』、『Myopia and Glaucoma』、『Spectral Domain Optical Coherence Tomography in Macular Diseases』
株式会社Personal General Practitioner(PGP)https://pgpmedical.com
