眼圧検査
目は張りのある球体です。内部に適度な圧力を保つことで、張りのある球体の形を維持しています。もし張りが弱いと、皺が寄ったり、ひずんだりして見えにくくなります。そのため眼圧とは「適度な張りを保つための、目の内側の圧力」と言えます。
眼圧は、高くなりすぎても、低くなりすぎても、目に問題が生じます。このため眼圧検査は、目の健康状態を知るうえで重要な指標の一つと言えます。
このページでは、眼圧検査の方法や種類、正常値の範囲、結果から分かる病気のリスクについて眼科専門医が解説します。
眼圧検査とは?
検査の目的と重要性
眼圧には、血圧と同じように「目安となる範囲」があります。眼圧が高すぎても低すぎても、目の不調や病気につながりやすくなります。眼圧検査で眼圧の状態を知ることは、目の健康を守るために重要です。
眼圧が高いと疑われる代表的な病気が「緑内障」です。緑内障は日本の失明原因1位となる病気で、早期発見・早期治療がきわめて重要です。
ただし、日本人の緑内障の多く(約72%)は、眼圧が正常範囲でも起こる「正常眼圧緑内障」です。眼圧が正常だからといって安心とは限らず、眼底検査や視野検査なども含めて総合的に評価することが必要です。
眼圧とは?
目は張りのある球体です。目に張りがあるのは、タイヤの張りが空気圧により保たれているのと同様に、眼球の張りは、目の内部の圧力である眼圧によって保たれています。
眼圧は高すぎても低すぎても、目の不調や病気のリスクが高まります。そのため、目の外から眼圧を測定する「眼圧検査」は、目の健康状態を知るための重要な検査です。
眼圧検査は、視力検査と並び、眼科で頻繁に行われる代表的な検査です。
検査の種類と方法
空気を当てる検査(ノンコンタクトトノメーター)
眼圧を目の外から測る方法は、いくつかあります。まず、ノンコンタクトトノメーター(非接触眼圧計)があります。これは、空気を角膜に当てて凹ませ、凹む速さや程度などを調べて眼圧を割り出す方法です。
多くの眼科で最初に行われる検査で、異常の有無をスクリーニングするには安全で優れた方法です。
器具ではなく空気が当たるだけなので痛みはないのですが、風が来るのが苦手で目をつぶってしまったり、まぶたに力が入ってしまいうまく測れないこともあります。力を抜き、目を大きく見開いて受けるのがコツです。
診察室で行う詳しい検査(ゴールドマン圧平式眼圧計)
緑内障など、さらに精密に眼圧を調べる必要があるときに医師が行うのが、ゴールドマン圧平式眼圧計による眼圧測定です。
これは、角膜を点眼麻酔後に先端が平坦なプローブを角膜に当て、角膜を平坦にしたときに角膜が押し戻す力を測定するものです。
麻酔するので痛みはありません。この検査も、力を抜き目を大きく見開くのがコツです。
その他の検査(アイケア眼圧計など)
この2つはほとんどすべての眼科で検査可能です。最近では、アイケア眼圧計を導入しているクリニックが増えました。
アイケア眼圧計は、ノンコンタクトトノメーターやゴールドマン圧平式眼圧計での検査が難しい方、車椅子の方や乳児や幼児など検査機器に顔を固定して載せることが難しい方でも測定可能です。
眼圧の正常値と異常値
正常値の範囲(10~21mmHg)と高眼圧・低眼圧の意味(リスク)
人の眼圧は、「mmHg(ミリ水銀柱)」で表記します。一般的に10mmHg~21mmHgを目安として、この範囲を正常値と考えます。眼圧はこの範囲を外れて高すぎても低すぎても、病気のリスクが高まります。
まず、眼圧が高い場合は、緑内障のリスクが高まります。しかし、実際には、そう単純ではありません。例えば、24mmHgなどと少し正常範囲を超えていても全く健康な目の方もいれば、16mmHgなどと正常範囲でも緑内障になる方もいます。緑内障になるかどうかは、視神経の強さの個人差も関係しているからです。
一方、眼圧が30mmHgなどと正常を大きく超えている目は、誰でも緑内障になるリスクがかなり高いと言えます。眼圧だけではなく、眼底を含む目の状態をトータルに把握した上で高眼圧の病的意義を捉えます。
次に、眼圧が低くなりすぎた場合は、目に張りが無くなり、角膜にひずみがでて見えにくくなります。さらに長期間低眼圧が続くと、低眼圧黄斑症(ていがんあつおうはんしょう)や脈絡膜剥離(みゃくらくまくはくり)などの病的構造変化が生じて見えにくくなります。これらは、「低眼圧症」と呼ばれ、目の手術後、目の外傷後、重度のブドウ膜炎などに発症する特殊な病状と言えます。
眼圧が高い場合の原因とリスク
眼圧が高いことを知ることは重要です。なぜなら、先述しました通り、緑内障になり視野障害が進むリスクが高いからです。
眼圧が上がる原因はいろいろあります。身近な例から挙げると、「ステロイド緑内障」があります。結膜炎の治療などでステロイド点眼を使うと一部の人に眼圧上昇が見られます。ステロイドの軟膏や内服でも眼圧が上昇することがあります。
このように、はっきりした原因に伴って眼圧が上がる緑内障を、「続発緑内障(ぞくはつりょくないしょう)」といいます。他にも、ブドウ膜炎や糖尿病網膜症などさまざまな目の病気が原因の続発緑内障があります。
もうひとつ、身近な緑内障があります。遠視や正視の方、特に女性に多い「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)」です。目の中を満たす房水の出口である隅角が狭くなったり塞がって眼圧が上昇します。眼圧が高いことがわかったら、原因を突き止めて原因を解除することが大切です。
一方、原因不明に眼圧が高くなる緑内障もあります。「原発開放隅角緑内障(げんぱつかいほうぐうかくりょくないしょう)」です。この場合は、緑内障点眼薬で眼圧を正常まで下げます。
眼圧検査でよくある質問
眼圧検査に痛みはありますか?
A. 空気を当てる眼圧検査では、一瞬風が当たって驚くことはありますが、痛みはありません。目に直接触れる検査では、点眼麻酔をするため痛みはほとんどありません。
コンタクトレンズはつけたままでいいですか?
A. 正確な数値を測るため、基本的には外して検査を行います。眼鏡やコンタクトケースをお持ちいただくとスムーズです。
空気の検査が苦手です。失敗したらどうなりますか?
A. うまくいかなかったとしても、簡単にやり直すことができますので心配はありません。リラックスして目を大きく開けて正面の目標を見続けることがコツです。
眼圧は時間帯によって変わりますか?
A. はい、変動します。一般的に冬場の変動や、一日の中での変動(日内変動)もあります。
眼圧はストレスや疲れで上がりますか?
A. 眼圧はストレスだけではなく、緊張、いきみ、うつぶせ・逆立ちなどさまざまな日常の状況で上がりますが、一時的なもので病気の原因になるわけではないので心配はいりません。精神的疲労だけで高くなることは通常ありません。
スマホやパソコンで眼圧は上がりますか?
A. スマホやパソコンの使用で持続的に眼圧が上がることは通常ありません。ただし、長時間のうつむき姿勢は一時的に眼圧を上げる可能性があります。
眼圧が高くなる原因は何ですか?
A. 房水という目の中を満たしている水分の排出が悪くなることが主な原因です。原因不明な「原発開放隅角緑内障(げんぱつかいほうぐうかくりょくないしょう)」とステロイド薬の使用、ぶどう膜炎、糖尿病などが原因で眼圧が高くなる「続発緑内障(ぞくはつりょくないしょう)」、房水の出口が塞がる「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)」などがあります。
眼圧が高いとすぐ緑内障ですか?
A. 必ずしもそうではありません。眼圧が正常範囲を少し超えていても緑内障でない人(「高眼圧症」と言います)がいる一方で、眼圧が正常範囲でも緑内障になる人(「正常眼圧緑内障」といいます)もいます。眼圧だけでなく、視神経や視野検査を総合的に判断することが大切です。
この記事を監修した医師

株式会社Personal General Practitioner代表取締役社長/医学博士・眼科専門医
板谷 正紀
京都大学医学部卒業。以後20年間、京都大学および米国ドヘニー眼研究所で網膜と緑内障の基礎研究と臨床、手術に取り組む。 京都大学では眼底の細胞レベルの生体情報を取得する革新的診断機器「光干渉断層計(OCT)」などの開発と普及に貢献する。 複数の産学連携、医工連携プロジェクトを企画推進し、2003年文科省振興調整費「産官学共同研究の効果的推進」に選ばれる。 医師でのキャリア35年。増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症、緑内障などの難症例の手術治療を得意とする。
英語論文148報(査読あり)
著書『OCTアトラス』、『OCT Atlas』、『Everyday OCT』、『Myopia and Glaucoma』、『Spectral Domain Optical Coherence Tomography in Macular Diseases』
株式会社Personal General Practitioner(PGP)https://pgpmedical.com
