近視性視神経症

40歳以降に近視が進みすぎると
神経線維が維持できなくなることも

近視が強い目の多くは、40歳以降に後部ぶどう腫形成など眼球形状の変化が進みます。なかでも、その変化が強く神経線維が強く引き延ばされるように変形が進むと、神経線維が維持できなくなり「視野狭窄」が進むことがあります。

神経線維が失われて、視野障害が進む病気として「緑内障」が有名ですが、緑内障と区別して「近視性視神経症」と呼ばれます。緑内障のように眼圧を下げるという治療が高い効果を持つかどうか分かっていない面があるため、できる限り学童期に近視が強くなるのを防いだ方が安全と言えます。

近視が強くなると神経線維に何が起こるのか

ものを見る時、網膜の視細胞が光情報を受け取り、網膜表層にいる最終ランナーの「神経節細胞」までリレーします。 神経節細胞は長い軸索を伸ばして「視神経乳頭」に集合し、目の外へ出て視神経を通って脳へリレーされています。この軸索の集まりが神経線維です。

網膜全体からすべての神経線維が視神経乳頭に集合して、90度の急ターンをして眼外へ出ます。この折れ曲がった神経線維を整理整頓して走らせるのが、「篩状板」というメッシュ構造の支持組織で、眼圧による篩状板のダメージが緑内障で神経線維が障害される原因と考えられています。

近視が強くなりすぎるということは、眼球が前後に伸びすぎることによるため、「神経節細胞」ー「篩状板」の距離も伸びるということです。つまり、神経線維は引き延ばされます。

これが学童期に急速に起こっても、おそらく未成熟な眼球には可塑性(作り変える能力)が高く、神経線維は維持できるのでしょう。しかし、40歳以降に起こる後部ぶどう腫形成により神経線維が引き延ばされると、可塑性の乏しい大人の目に起きるため、維持できなくなり変性していくことが想像できます。

これは、緑内障とは異なるメカニズムで神経線維が失われていると言えるため、「近視性視神経症」として区別されています。

治療は緑内障に準じて

近視性視神経症を防ぐには、後部ぶどう腫形成を防ぐ必要がありますが、今のところ確立されていません。実際の治療としては、緑内障と同様に眼圧を下げる点眼薬が用いられることが多いです。

しかし、近視性視神経症の臨床研究の歴史が浅く、眼圧下降が視野障害の進行を防ぐことが出来るかは、まだ十分なエビデンスはありません。一方、緑内障については膨大な研究が報告されているため、その成果から考察してみると、眼圧下降は近視性視神経症の進行を抑えるために有効な可能性があります。

一般に、緑内障手術により眼圧を十分に下げると、眼軸長はかなり小さくなります。篩状板も前方へ移動します。強度近視眼は眼球の壁が薄いため、より眼圧の影響を受けやすいと考えられます。眼圧下降により眼球壁にかかる張力が減少して緩むことで、神経線維を引き延ばす有害な力が減る可能性は十分に考えられます。

緑内障点眼薬による眼圧蒲生は、手術ほどではないですが、効果が期待できます。臨床研究により確認が必要です。

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