眼位検査
眼位とは両眼の目の向きの位置関係
眼位は、右目と左目の目の向きの位置関係のことです。正常では、ものを見つめるとき、右目も左目も同じ向きをとります。この左右の目の向きが同じでないことを「眼位ずれ」または「眼位異常」といます。
眼位ずれを起こす病気には、斜視や斜位があります。特に、幼少児の斜視は視力の発達が不十分になり、弱視になる可能性があるため注意が必要です。弱視にならない場合でも、両眼視機能が発達しないことがあります。
大人でも、斜視の程度によっては、ものが二重に見える複視が生じる原因になることがあります。このように斜視を疑ったり、複視がある場合は、眼位検査が必要になります。
眼位検査では何をするのか
眼位は、右目と左目の目の向きの位置関係のことです。通常は、1点を見つめたときに取る目の向きが右目と左目は同じで、眼位は一致しています。そして、両目の向きがズレた状態を「眼位ずれ」と言います。斜視や斜位は眼位がずれる病気です。
眼位ずれを調べる簡易な方法として、「角膜反射法」があります。これは両眼をペンライトで照らし、光を見つめてもらう検査です。視線が光に合うとペンライトの反射点が瞳孔の真ん中に映ります。眼位ずれがあると左右どちらかの目線がペンライトから外れるため、反射点は瞳孔の真ん中から眼位ずれの反対側にずれて映ります(図)。例えば、内斜視なら、視線は鼻側にくるため、反射点は瞳孔の耳側に映ります。
角膜反射法の応用として、片眼を隠して眼球の動きを観察する方法(遮閉試験)があります。外斜位は、集中してペンライトを見ていると眼位ずれは認められませんが、片眼を遮蔽すると遮蔽した方の目が、外へ向きます。遮蔽をはずすと外へ向いていた目がまっすぐに戻ります。このように遮蔽と遮蔽を外したときの目の動きを見るのが遮閉試験です。この時、プリズム検査を用いて眼位ずれの程度を調べることができます。
眼位異常の影響は幼少児と大人では違う
幼少児期は、視力と両眼視機能が発達する時期です。この2つの機能が正常に発達するには、眼位が正常で両眼でものを見ることができる必要があります。
生まれつき斜視があると片方の目を使わなくなるため、その目の視力が正常に発達しなくなり、弱視になります。間欠性外斜視や交代性上斜視は、時に斜視眼を使うときがあるため弱視にはなりにくいものの、左右の目を同時に使いにくいため両眼視機能が低くなります。
大人になってから後天的に斜視になる場合はどうでしょうか?この場合は、視力は両眼とも良好な場合が多いため、ものが二重に見えること(複視)が問題になります。急に斜視になる場合、脳の病気や目の筋肉に異常をきたす病気(甲状腺眼症、重症筋無力症)が潜んでいる場合があるため、原因精査が必要です。