画像検査

光で細部まで見える化

眼科には多くの画像検査機器が普及しています。目はものを見るために進化したため、外界の光を効率的に目の奥まで通すことができます。このため、光学的画像技術と相性が良いのです。

光は、放射線や磁気よりも分解能が高いのが特徴です。目の形状を精密に測定したり、微細な病変を映し出すことが出来ます。なかでもOCT(光干渉断層計)は、3~10μmの高い分解能で描出できる画像検査機器で、眼底や前眼部の正常構造や病変を細部まで観察できます。角膜乱視の解析・角膜移植の確認・黄斑疾患の診断と治療・緑内障の早期診断など、様々な分野で欠かせないのが画像検査です。

目の画像検査の種類

眼科では様々な画像検査があり、目の病気と目的に応じて使い分けます。

OCT:光で角膜や網膜の断層像を取得する検査です。前眼部用と眼底用に分けられます。

前眼部OCT:角膜、隅角、水晶体の形状や病変を調べます。乱視の解析も行います。

眼底OCT:眼底の画像診断の中心的役割を果たしています。

角膜トポグラフィー:角膜形状を光で調べます。

走査型レーザー検眼鏡(SLO):レーザーで眼底を操作して眼底画像を動画で捉えることができます。造影剤を用いた撮影により網膜や脈絡膜の血管異常を精密に捉えることが可能です。

超広角走査型レーザー検眼鏡:特殊なレーザースキャン技術により眼底を200度の広角で撮影できます。眼底カメラが45度前後ですので、その広さがわかります。網膜の80%を1回の撮影でカバーします。

超音波断層検査:超音波で眼球全体の断層像を取得します。超音波は光よりも組織を通り抜ける力が強いのが特徴です。角膜、水晶体、硝子体のどこかに強い混濁があり、光が眼底に届かない場合でも超音波は眼底まで撮影できます。

X線・CT・MRI:眼球の後ろにある視神経や目の筋肉が走っている眼窩やさらにその後ろにある視神経交叉部などの病変を調べるには、X線撮影、CT, MRIを用います。

OCT(光干渉断層計)とは

OCTは、魚群探知機と同じように、反射波を捉えて距離を測定する技術です。魚群探知機は超音波を用いますが、OCTは光を用います。眼底に光が当たると各組織や病変(魚群)で反射が起こり、反射点(魚群の位置)の距離が分かります。反射の強さは組織の構造(魚群の状態)により異なるため、距離によって濃淡が出来ます。この光スキャンを位置を変えて繰り返すことで、前眼部や眼底の断層像が取得できます。

OCTにより、肉眼による観察では捉えられない微細な病変や形状が捉えられるようになりました。前眼部OCTによる前眼部3次元画像解析と、眼底OCTによる眼底三次元画像解析の2通りの検査があります。それぞれの代表的用途を見ていきましょう。

 

前眼部3次元画像解析

角膜形状の精密測定:角膜乱視が精密に測定できます。ICLや白内障手術での乱視矯正などに使用します。

隅角画像検査:閉塞隅角緑内障では房水の出口がある隅角が狭くなり、治療が昼用になります。

 

眼底三次元画像解析

黄斑疾患の診断:網膜の中心にある黄斑には様々な病気が起き、視力が低下したり、ものが歪んで見えたりします。この検査は、黄斑疾患の診断に不可欠です。

抗VEGF治療:加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫は、黄斑に血液成分が漏れてむくむ病気です。抗VEGF薬を繰り返し眼内に注射して漏れを抑えます。この治療を行うタイミングをOCTで決めます。OCTは繰り返し検査しても目に害はないため、加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫の治療経過をモニターする基本検査となりました。

緑内障の早期診断:緑内障は、眼底検査だけでは早期発見が難しいケースが多くあります。OCTは神経線維が走っている層の厚みを測定できるため、併用すると緑内障の早期発見率が高くなります。

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