緑内障

近視が強くなると緑内障になりやすいが
早期発見が難しい

多くの疫学調査で、近視の目が数倍緑内障になりやすいことが明らかになっています。その原因として注目されているのが、学童期に近視が進むときに起きる「視神経乳頭」の変形です。

神経線維が集合する視神経乳頭は、生まれたときはドーナッツのような丸いリング形状をしていますが、近視が進むにつれ楕円形になったり傾いたりと多様な変形が起きます。この変化により、視神経乳頭が眼圧の影響を強く受けやすくなることがあり、神経線維が減りやすくなる考えられています。

また、この視神経乳頭の変形は、近視の目における緑内障の早期発見も難しくしています。近視における緑内障の早期発見は、重要な課題と言えます。

近視が強いと緑内障のリスクが高まる

眼球には、眼圧に弱いところがあります。それは「神経線維」の出口である、「視神経乳頭」です。

ものを見る仕組みはまず、網膜の視細胞が光情報を受け取り、網膜表層にいる最終ランナーの「神経節細胞」にまでリレーします。

神経節細胞は長い軸索を伸ばして「視神経乳頭」に集合し、目の外へ出て視神経を通ってゴールの脳へ到達します。この軸索の集まりが「神経線維」です。

網膜全体からすべての神経線維が視神経乳頭に集合して、90度ターンをして眼外へ出ます。折れ曲がる神経線維を整理整頓して走らせるのが、出口にある「篩状板」というコラーゲンメッシュ構造の支持組織です。

眼球は、眼球外壁が厚いコラーゲンの重層構造で守られている球ですが、神経線維の出口にある篩状板だけは弱い組織で、眼圧の影響を受けやすいのです。篩状板は眼圧により常に外に押されていてダメージを受けやすく、この変化が緑内障で神経線維が障害される原因と考えられています。

近視が強くなると、眼球が前後に長く伸びるにつれて視神経乳頭が変形します。この変形により、篩状板も影響を受けて眼圧にさらに弱くなる目が増えると考えられています。

近視が強いと緑内障の早期発見が難しい理由とは

視神経乳頭は、生まれたときはドーナッツのように丸いリング形状をしています。ドーナッツの食べる部分にあたるのが、神経線維が90度ターンして通っている場所です。緑内障が進むと神経線維が減少して、この食べる部分(「リム」と言います)に痩せ細る部分が現れます。

見方を変えると、中の空洞(「陥凹」と言います)が拡大します。これが緑内障診断の重要な所見です。単純なドーナッツ形状では、リムが痩せ細り始めるのを早期に見つけることは可能です。ところが、近視の目は、視神経乳頭に起きているさまざまな変形のため、緑内障による初期の変化を見つけ出すことを難しいことが多くなります。

最近は、OCTという眼底の断層像を簡単に撮影できる検査が普及し、緑内障診断に使われるようになりました。神経線維が走っている層の厚みを測定できるため、視神経乳頭の観察で診断に迷う近視眼でも、早期診断が可能になりました。それでも、近視が強くなりすぎるとOCTによる結果が不正確になりやすく、診断に使えないこともあります。

緑内障は早期治療が決め手

緑内障は10年、20年という長い年月をかけて進み、進むほど進行を抑えることが大変になります。また、失われた視野機能は元に戻りません。このため、早期に発見して、眼圧を下げる点眼治療を開始することが重要です。

近視の方の緑内障は、時に30代、40代という若い年齢で視野障害が現れることがあります。見つめる近くに障害が出るケースもあり、仕事に影響するため、特に注意が必要です。

緑内障点眼には副作用がつきものです。仕事が忙しい方は点眼を忘れがちになることもあります。効果と副作用のバランスやライフスタイルを考慮して点眼薬を選択していく必要があります。

かなり進んだ緑内障は、点眼治療だけでは不十分になりやすく、緑内障手術が必要になることがあります。緑内障は人生を通して管理していく病気です。近視が強い方は、可能なら30代で緑内障の精密検査を受けていただくことをお勧めします。

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