乱視

乱視ってなに?

乱視とは、「遠くも近くも、ぼやけたり二重に見えたりする状態」として知られています。人によっては、文字がにじんで見えたり、光がにじんでまぶしく感じたりすることがあります。特に細かい字を読むときや夜間の運転などで見えにくさを感じることが多いのが特徴です。では、乱視の目の中では何が起こっているのでしょうか?

ここでは、乱視がどのような状態で、何が原因で起こるのか、その基本的な知識について解説します。
ご自身の目の状態を正しく理解するためにお役立てください。

乱視の人の見え方

乱視による見え方は、単に「全体がぼやける」だけではありません。複雑なピントのズレは、眼精疲労やそれに伴う頭痛・肩こりの大きな原因にもなります。
以下のような特徴的な症状に心当たりはないでしょうか。

光のにじみと伸び
夜間に信号や車のヘッドライトを見たとき、光源が点ではなく線状に伸びたり、にじんで大きく見えたりします。
文字や輪郭のブレ
看板の文字や時計の数字が、二重・三重にブレて見えることがあります(ゴースト現象)。
特定方向のぼやけ
格子模様などを見た際に、縦線ははっきり見えるのに横線はぼやけるなど、方向によって鮮明さが異なります。

乱視とはどういう状態なのか

私たちの目は、カメラがレンズで光を集めてフィルムに像を写すように、角膜(かくまく)と水晶体(すいしょうたい)で光を屈折させ、網膜(もうまく)というスクリーンにピントを合わせています。

理想的な目(正視)では、光は網膜上の一点で正確に焦点を結ぶため、物がくっきりと見えます。これに対し乱視は、角膜や水晶体のカーブが完全な球面ではなく、方向によって曲率が異なるために、焦点が一点で合わなくなった状態を指します。

ラグビーボールのように、タテとヨコでカーブの度合いが違う状態をイメージすると分かりやすいでしょう。
その結果、以下のような症状が現れることがあります。

  • 物がぼやける、輪郭がはっきりしない
  • 物が二重に見える
  • 特定の文字や数字の判別がしにくい
  • 夜間に光源がにじんで見える(光が滲む、尾を引くなど)

また、無意識にピントを合わせようと目が過剰に働くため、眼精疲労(目の疲れ、痛み、頭痛、肩こりなど)を引き起こす原因にもなります。
気になる症状があれば、まずは眼科専門医へ相談することをお勧めします。

乱視の発症は体質・遺伝の要素が関係している

乱視の発症には、遺伝的要因が大きく関わっていると考えられています。
両親が乱視の場合、その子どもも角膜や水晶体の形状を受け継ぎ、乱視になる可能性が高いとされています。そのため、生まれつき乱視を持っている「先天性乱視」は珍しくありません。
このように、角膜や水晶体の形状といった目の構造的な特徴、いわば「目の体質」が乱視の主な素因となります。また、アレルギーなどで頻繁に目をこする癖は、角膜の形状に影響を与え、乱視を助長する可能性も指摘されています。

子どもの乱視には特に注意

子どもの乱視を放置すると、弱視(眼鏡をかけても視力が出ない状態)になるリスクがあります。
弱視は生涯の視力にかかわりますので、早期に発見し正しく矯正することが重要です。

乱視の種類と原因

乱視の原因は、その大部分が目の一番前にある透明な膜「角膜」と、その奥でレンズの役割を果たす「水晶体」の形状にあります。
この形状の歪み方によって、乱視は大きく「正乱視(せいらんし)」と「不正乱視(ふせいらんし)」の2種類に分類され、それぞれ原因や矯正方法が異なります。

正乱視(せいらんし)

角膜や水晶体が、ラグビーボールのように一方向に規則的に歪んでいる状態です。ほとんどの乱視がこの正乱視にあたります。
原因として、主に下記の2つがあげられます。

  • 遺伝的・先天的なもの

    生まれつきの角膜形状に起因します。

  • 加齢・後天的なもの

    加齢によって水晶体の状態が変化し、後天的に乱視が生じる場合があります。

不正乱視(ふせいらんし)

角膜の表面が、病気や外傷によって不規則に歪んだり、凹凸が生じたりしている状態です。光が不規則に散乱するため、正乱視より矯正が複雑になります。
原因として、以下の3つがあげられます。

  • 目の病気

    角膜が薄くなり前方に円錐状に突出する「円錐角膜」、結膜(白目)の組織が角膜に侵入する「翼状片」、あるいは角膜の感染症や炎症、潰瘍の治癒後などが原因となります。
    病気が原因の場合には、まずその疾患自体の治療が優先されます。

  • 目の外傷

    角膜に傷がついた後など。

  • 目の手術後

    角膜移植や、まれに白内障手術などの後に生じる場合があります。

乱視の治療

乱視の治療は、見え方の質を向上させ、眼精疲労を軽減することが目的です。
治療法は、眼鏡など日常的に行う「矯正治療」と、手術による「外科的治療」に大別されます。

正乱視は、その規則的な歪みのため、眼鏡や乱視用コンタクトレンズによって良好な視力に矯正することが可能です。
一方で不正乱視は、眼鏡での完全な矯正は難しく、主にハードコンタクトレンズを用いて視力の改善を図ります。原因疾患の治療が必要になるケースも少なくありません。
眼科専門医が検査結果をもとに個々の状態に合わせた治療方法を提案します。

矯正治療

  • 眼鏡

    乱視の方向と度数に合わせた「円柱レンズ」で矯正する、最も安全で一般的な方法です。

  • コンタクトレンズ

    ソフトとハードの2種類があり、眼鏡より広い視野で自然な見え方が得られます。特に「ハードコンタクトレンズ」は、不正乱視に対しても高い矯正効果を発揮します。

  • オルソケラトロジー

    夜間に特殊なコンタクトレンズを装用し、角膜の形を整えることで、日中を裸眼で過ごせるようにする治療法です。

外科的治療

  • 屈折矯正手術(レーシック、ICLなど)

    レーザーや目の中に挿入するレンズによって、目の屈折状態を変化させ、恒久的な裸眼視力の回復を目指す手術です。

  • トーリック眼内レンズ

    白内障手術の際に、乱視も同時に矯正できる機能を持つ特殊な眼内レンズを用いる方法です。

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