近視の視力回復(屈折矯正)を知る

屈折矯正による視力回復とは

近視では光のピント(焦点)が網膜より前にあります。眼に入ってくる光は凸レンズの働きをする角膜と水晶体により、屈折して虫メガネのように一点に集光します。これが焦点です。凸レンズは光を集める屈折効果があります。網膜より手前にある焦点を網膜面に合わせるためには、逆に凹レンズを用いて光を広げる方向の屈折を加えることにより、全体の光を集める屈折を弱めて焦点を後ろへずせばよいのです。この凹レンズをどこに置くかで屈折矯正法が決まります。

目の前に離して凹レンズを置くのが「メガネ」、角膜表面に置くのが「コンタクトレンズ」、目の中の水晶体の前に置くのが「ICL」です。「レーシック」だけは、凹レンズを用いず、角膜を薄く削ることにより凸レンズの屈折を直接弱めます。これらを総じて【屈折矯正】と呼びます。白内障になったときに受ける白内障手術も、取り出す水晶体の代わりに入れる眼内レンズが、屈折矯正法の1つとなります。

それぞれの屈折矯正の特徴を知り、今の自分の年齢と眼の状態に合った方法を選びましょう。

メガネ

メガネは知らない人がいないほど、ポピュラーな屈折矯正具です。通説では、メガネは、13世紀にイタリアで発明されたと考えられています。レンズをフレームにより目の前に置くことで矯正します。

近視用は凹レンズ、遠視用は凸レンズを用います。いわゆる老眼鏡は、遠くのピントを近くに持ってくるため凸レンズを使います。どのレンズも乱視矯正が可能です。かけはずしが簡単で、眼に接触しないため安全性が高い装具です。

一方で、メガネフレームが自分の顔を横切るため、見た目を好まない方がいます。近視が強いと、かけている人の眼が小さく見えるため、さらに見た目が変わります。これは、メガネはレンズが目から離れているために起こる現象です。

近視が強いと、見た目だけではなく、ものが小さく見えたり、視界が狭く、周辺部がひずんで見えます。近視や遠視、乱視が強すぎる場合や左右の近視の差が大きいときは、メガネでは十分な矯正視力を得られないことがあります。また、激しいスポーツにも不向きです。息や湯気で眼鏡がくもる不便さもあります。

このように欠点も多いですが、例えば、コンタクトレンズのオーバーウエアを防ぐためにもメガネと併用することが大切であるなど、屈折矯正の基本的な必須アイテムと言えます。

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コンタクトレンズ

コンタクトレンズは眼の表面(正確には角膜の表面)にレンズを乗せて屈折矯正を行う装具です。メガネのようにレンズと目が離れておらず「接触(コンタクト)」していることが特徴で、これがメリットとデメリットを生みます。

コンタクトを選ぶ一番多い理由は、見た目に影響しないことです。最近では、黒目がくっきり見えるコンタクトレンズが普及するなどオシャレアイテムとしても好まれています。他にも、広い視界が得られる、スポーツで快適、息や湯気で曇らないなどメガネの欠点がないことがメリットです。

このように、メリットの多いコンタクトレンズですが、目に接触するために、結膜や角膜やまぶたのトラブルが生じるリスクが最大のデメリットです。

なかでも角膜感染症は視力障害が残ってしまう可能性がある怖いトラブルです。そのため、レンズケアを適切に行うことや適性に装用すること、メガネと併用して過度な装用を減らすこと、目のチェックを定期的に受けることが求められます。快適なコンタクトライフを楽しむために、コンタクトレンズの知識を深めることが大切です。

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オルソケラトロジー

オルソケラトロジーは、角膜のカーブをフラットに変えることで屈折力を低下させて近視を矯正します。

就寝中に専用コンタクトレンズをはめ、角膜をフラットに変えます。昼間はレンズをはずしても角膜の変化が保たれるため裸眼でよく見えます。ただし、強度の近視・乱視には使えません。

夜間の専用コンタクトレンズ装用に慣れさえすれば、昼間は何も付けなくて良いため快適です。同じく角膜を変形させるレーシックは角膜を削るため元にはもどりませんが、オルソケラトロジーは装用を止めると角膜は元にもどります。

オルソケラトロジーは、手術ではなく目に器具を装着しないため、万が一の目の打撲に対するリスクを高めません。目にものが当たる頻度の高い格闘技や球技でも一番安全性が高いと言えます。最近ではオルソケラトロジーは、近視が急速に進行する8~15歳の時期に使用すると、近視の進行を抑える効果があることが示され注目されています。

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レーシック

レーシックは、角膜をレーザーを用いて削ることにより、角膜のカーブをフラットにして近視を矯正します。手術は10分程度の短時間で終わり、その日のうちに近視が治ってしまうため快適です。

最近ではICL(眼内コンタクトレンズ)という競合手術が出てきましたので、ICLと比較されることが多いですが、視力回復の速さやリーズナブルな費用など、まだまだ魅力はあります。特に、強くない近視の方には見え方の質も優れているため、良い選択のひとつと言えます。

一方、近視が強い方、角膜が薄い方は、慎重になった方が良いかもしれません。近視が強いほど、たくさん角膜を削らないといけないため、ぼやけの原因となる収差が増えたり、「近視戻り」になるリスクが増えるためです。

近視戻りとは、手術後に時間が経ってから軽い近視がでてくることを言います。緑内障の方は、近視に多いとされますが、角膜が薄くなると眼圧が実際よりも低く測定されるため要注意です。

一時的なデメリットとしては、ドライアイが強まったり、夜間光がまぶしく見えるハロー・グレアが出たりします。このようなデメリットが強く出る眼でなければ、優れた屈折矯正法です。

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眼内コンタクトレンズ(有水晶体眼内レンズ)~ICLなど

眼内コンタクトレンズ(有水晶体眼内レンズ)は、凹レンズを眼の中に入れて近視矯正を行う方法です。

レンズを入れる場所によって、角膜と虹彩の間である前房に入れる「前房タイプ」と、虹彩と水晶体の間である後房にいれる「後房タイプ」に分かれます。日本国内では、後房タイプのICLが普及して「ICL(アイシーエル)」と呼ばれています。

ICLは、見え方の質や手術適応の広さなど、レーシックより勝っている点がいくつもあります。特筆すべきは、見え方の鮮明さです。角膜をいじらずレンズの力で矯正するためです。

コンタクトレンズのように調子が悪くて見えにくいというようなこともなく、常にはっきり見えます。また、ハイパワーのレンズがあるため、レーシックやオルソケラトロジーが適応にならない強度近視の方も問題なく矯正できます。強い乱視の矯正にも向いています。

良いことづくめに見えるICLですが、眼の中にレンズを入れるためには内眼手術が必要です。手術は日帰り手術で両眼20分前後の短時間で、翌日からよく見えます。しかし、手術ですので術後感染の予防など適切な術後のケアが必要です。近視が弱い方は、ICLとレーシックが良い選択肢になります。近視が強い方はICL一択と言えるかもしれません。

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白内障手術(眼内レンズ)

白内障手術は、本来白内障という病気を治療して矯正視力を回復させる手術ですが、白内障手術で用いる「眼内レンズ」が高機能に進歩して、近視・遠視・乱視・老眼も治療できるようになりました。

もちろん、白内障などの病気がないのに屈折矯正目的のみで白内障手術を受けるのはお勧めしませんが、白内障が問題になり始めたら、優れた屈折矯正の方法と捉えて手術を受けるという選択肢もあります。

つまり、若年期から中年期は、コンタクトレンズやICLで矯正してきたが、そろそろ白内障で見えにくくなってきたため、白内障を治すのと同時に、近視や乱視も矯正しておこう、という考え方です。

特筆すべきは、老眼を治す多焦点眼内レンズが進歩しており、効果的であることでしょう。眼内レンズは歴史があり、レンズの種類が多く選択肢が豊富です。また、レンズによってはとても強い近視の目にも対応する眼内レンズ度数が製造されています。白内障による視力低下から回復するだけではなく、もともと持っていた屈折異常まで矯正できるという点で、二重の喜びがあると言えるでしょう。

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