細隙灯検査
診察室でまず行う細隙灯検査
細隙灯検査は、眼科の診察室に入ると最初に行う検査です。細隙灯を挟んで眼科医と患者は向かい合います。眼科医は何を見ているのでしょう?細隙灯は、角膜・前房・水晶体・硝子体を光で細部まで観察できる、優れた検査機器です。角膜から硝子体までは光が通る透明な組織のため、細隙灯で光を当てると、炎症や混濁などの異常が一目でわかります。
光の当て方により様々な見え方が可能で、病変により使い分けます。例えば、光を細長い形状(スリット)にすると、それぞれの組織の腫れや濁りが分かります。特殊なレンズを使うと、目の奥の詳細な観察も可能になります。細隙灯検査は、眼科で医師が行う最も基本的な検査です。
細隙灯について
眼科の診察室に入ると、医師との間にある検査機器です。機器の前にある椅子に座りあご台に顔を乗せると、まぶしい光が右目、次に左目に当てられて検査は終わります。正常ならすぐ終わりますが、異常があると時間をかけて観察が行われます。
細隙灯は英語で「photoslit lamp」と言います。”slit”は、「縦に細長く切る」という意味です。つまり、縦に長く細い光で目をスキャンする検査ということになります。
実際によく行う検査は、図のようにスリット光を右斜め(または左斜め)から入れて正面から観察します。すると、透明な角膜・前房・水晶体・硝子体は、slit光に”切られて“各断面を観察することができます。この断面に濁りや炎症所見などの病変が映ります。図は、白内障で水晶体が黄白色に濁っているのが映し出されています。
他にも、病変部に応じて光の当て方を変えたり、倍率をいろいろ変えて観察したり、写真を撮影したりします。コンタクトレンズなどで起きる角膜上皮細胞が脱落した角膜の傷は、フルオレセインという染色液を付けて観察します。さらに、特殊なレンズを通して眼底を細部まで観察することもできます。
細隙灯は、眼科医の目で直接目の異常を観察できる万能の検査機器と言えます。
細隙灯でわかること
正常所見:角膜、水晶体、硝子体は光がよく通る透明な組織ですが、 slit光で見ると多少光を反射して各構造が見えます。角膜は、層構造や角膜内皮細胞が見えます。水晶体は、核や皮質がわかります。硝子体は、硝子体線維が見えます。角膜と水晶体の間の空間である前房は、房水という水分で満たされており真っ暗に映ります。
濁り:各組織は基本的に透明のため、濁りはすぐに分かります。
炎症:角膜に炎症が起きると濁りが出るため分かります。虹彩炎など目の中の炎症では前房に炎症細胞が見え、血中タンパク質の漏れであるフレア(薄い濁り)が観察されます。
形態異常:各組織は、それぞれ特有の正常形状を持つため、異常があればすぐ分かります。円錐角膜は角膜が前方に突出してくる病気ですが、突出の状態が分かります。閉塞隅角緑内障は、前房が浅くなり房水の出口である隅角が狭くなる病気ですが、細隙灯で前房の深さや隅角の広さを見ることができます。隅角鏡を目に接着させて観察すると、隅角の異常を直接見ることができます。
細隙灯では他にも、様々な目の異常を捉えることが出来ます。