近視の対策と進行予防を知る

近視の進行予防とは

近年、以前は想像もできなかった近視の進行を予防する方法が、次々と分かってきています。ここでは、その方法をご紹介します。なぜ近視になるのかを理解すると、進行予防の理解が一層深まります。近視の進行を予防するということは、学童期に眼の奥行きを伸ばしすぎないということです。

人は生まれたときには眼が小さく、ほとんどの子は遠視で生まれてきます。つまり、ピントが網膜の後ろにあります。成長とともに眼は大きくなり網膜はピントに近づいていきます。ピントが網膜面に一致したところで目の成長が止まれば(正視)いいのですが、近視になる眼は奥行き方向に成長しすぎて、ピントが網膜の前に行ってしまいます。この眼の過度の成長を起こす要因を減らすことが、近視進行予防の基本になります。

低濃度アトロピン目薬

画像引用:Eye-Lens Pte Ltd

1%アトロピンは、古くから眼科で瞳を開く目的で使用されてきた点眼薬です。近視進行を抑える効果があることは以前より知られていました。

しかし1%アトロピンは、瞳が長時間開くため、ピントが合わなくなり見えにくくなったり、まぶしくなったりと副作用が強く、日常生活に支障をきたし毎日使用することはできませんでした。

そこで、シンガポールで、濃度を薄くしたアトロピンを用いて学童対象にスタディーが行われ、 0.01%の濃度のアトロピンは、近視進行予防効果をある程度保ちつつ、副作用も許容できる範囲であることが示されました。

これにより、0.01%アトロピン(最近では0.025%もあり)が近視進行予防効果を持つ点眼薬として使用されるようになっています。

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ライフスタイル(生活習慣の改善)

学童期において、一日にどれくらい屋外で過ごすかが、近視進行に大きな影響を与えることが分かってきました。日に合計2時間屋外で活動できると、近視が進みにくいことが分かっています。

重要なのは、浴びる光の量であることが言われはじめています。しかし都市部では、生活空間や放課後のライフスタイルのため、登下校の時間を含めても、日に2時間の屋外活動を行うことは困難です。実際に、都市部ほど近視の人は多いのです。

体育の授業を週150分屋外で行うことを義務づけたりと、国を挙げて近視進行予防に取り組む国が増えています。最近は、スマホやPCなど液晶を長時間見る生活が学童にも押し寄せ、ますます近視進行を加速するライフスタイルになっています。屋外活動を学校教育の中で、どのように取り組んでいくかを問われる時期に来ています。

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オルソケラトロジー

近視矯正として開発された「オルソケラトロジー」には、近視進行予防効果があることが分かってきました。オルソケラトロジーは、夜間に専用のコンタクトレンズを付けて角膜のカーブを平坦にすることで屈折を弱めて、網膜にフォーカスを合わせるようにします。

通常の近視矯正では、網膜の中心にフォーカスを合わせますが、網膜周辺部は「遠視性デフォーカス」といい、フォーカスが網膜の後ろにきます。この遠視性デフォーカスが、近視を進行させる刺激になります。このため、通常のメガネやコンタクトレンズを使用しても近視の進行は抑えられないのです。

オルソケラトロジーは、角膜の中央部はカーブが平坦になりますが、周辺部のカーブは逆に強くなります。そのため、網膜周辺部のフォーカスが手前に移動して「遠視性デフォーカス」が軽減され、近視進行が抑えられると考えられています。いわば、副次効果です。一石二鳥とも言えます。

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近視進行を予防するメガネやコンタクトレンズ(マイオキッズレンズ)

画像引用:カールツァイス社

通常のメガネやコンタクトレンズは、視力検査の結果に基づいてレンズを作成するため、網膜の中心にだけ網膜表面にフォーカスが合います。網膜の周辺部はフォーカスが網膜の後ろに来ます。これを「遠視性デフォーカス」といいます。

この遠視性デフォーカスが近視を進行させる強い刺激になります。

最近、この遠視性デフォーカス、あるいはその影響を減らす設計をしたレンズを用いたメガネやコンタクトレンズが開発されています。

まだ普及には至っていない、近未来の近視進行予防を紹介します。

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ピックアップ近視進行抑制治療が受けれるクリニック