目の充血・目やには放置NG?│ウイルス性結膜炎(はやり目)の症状・感染力・後遺症まで解説

目が急に赤くなり、大量の涙や目やにが出る――このような症状が突然現れると、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。こうした症状の原因のひとつに、ウイルス性結膜炎があります。

ウイルス性結膜炎は、強い充血・目やに・涙が急に出る感染性の結膜炎で、「目の風邪」とも呼ばれる身近な病気です。特に流行性角結膜炎(はやり目)は発症が急で症状が強く、感染力が高いため、学校や家庭内で広がることもあります。さらに、角膜に炎症が及ぶと、見えにくさやまぶしさなどの症状が長引く場合もあります。

見えにくさやまぶしさがある場合は、角膜に炎症が及んでいる可能性があるため、早めの眼科受診が重要とされています。

本記事では、ウイルス性結膜炎の症状や種類、感染力、日常生活での注意点、そして後遺症のリスクまで、眼科医の視点からわかりやすく解説します。

ウイルス性結膜炎とは?「目の風邪」の正体

ウイルス性結膜炎は、主にアデノウイルスなどの感染によって、目の表面(結膜)に炎症が起こる病気です。
風邪と同じように自然に治ることが多いため「軽い病気」と思われがちですが、実際には注意すべき点が多くあります。

ウイルス性結膜炎の特徴

ウイルス性結膜炎による充血・涙・目やにの症状

まず大きな特徴は、非常に感染力が強いことです。主な感染経路は接触感染です。手が触れるドアノブやタオルなどを介して簡単に広がり、家庭内や学校、職場で集団感染を引き起こすことがあります。これが「はやり目」と言われる理由です。

さらに、種類によっては結膜だけでなく角膜(黒目)にも炎症が及ぶため、「見えにくい」「まぶしい」といった視機能の低下につながることもあります。

ウイルス性結膜炎の3つのタイプ

ウイルス性結膜炎には主に以下の3種類があります。原因となるウイルスの種類により症状や重症度に違いが生まれます。

流行性角結膜炎(はやり目)

最も注意が必要なタイプです。強い充血や大量の目やに、まぶたの腫れが見られ、感染力も非常に強いのが特徴です。さらに角膜(黒目)に炎症が及ぶため、視力低下の原因になることがあります。流行性角結膜炎と病名に「角」がつくのは、結膜(白目)だけではなく、この角膜へ炎症が及び症状を引き起こすためです。

原因ウイルス:アデノウイルスのなかの、8型・19型・37型・53型・54型・56型

咽頭結膜熱(プール熱)

結膜炎以外にも、発熱やのどの痛み・結膜炎を伴うのが特徴です。子どもに多く見られます。夏のプールの水を介して集団感染することが多かったため、プール熱ともいわれています。

原因ウイルス:アデノウイルス3型、4型、7型

急性出血性結膜炎

急性出血性結膜炎による白目の出血(強い充血と結膜下出血の例)

激しい目の痛みとともに、白目に出血が現れることが特徴のウイルス性結膜炎です。潜伏期が1-2日と短いことも特徴です。1969年のアポロ11号月面着陸の年に流行したことから、別名「アポロ病」とも呼ばれます。

原因ウイルス:エンテロウイルス70型(EV70)またはコクサッキーウイルスA24変異株(CA24v)

ウイルス性結膜炎の症状と問題点

ウイルス性結膜炎は、急に始まる激しい結膜炎症状が特徴です。特に、流行性角結膜炎は、ウイルスがいなくなっても角膜に炎症が持続する問題があります。

よくある症状

ウイルス性結膜炎は、ある日急に、以下のような症状が現れます。片目に始まることが多く、1~3日おいて、もう片方に発症することも多いです。

ウイルス性結膜炎のよくある症状

  • 白目の強い充血
  • 目やに(特に朝に多く、まぶたが開きにくいこともある)
  • 涙が増える(流涙)
  • ゴロゴロした違和感や異物感
  • 耳の前のリンパ節の腫れや痛み(みられることがあります)
  • まぶたの強い腫れ

どのくらいで治る?治療期間の目安

ウイルス性結膜炎は基本的に免疫力により自然に治癒します。
ウイルスによる違いや個人差はありますが、おおむね以下のような経過をたどります。

ウイルス性結膜炎の治療期間の目安

  • 発症からピーク:2〜5日
  • 改善:1〜2週間
  • 完全回復:2〜3週間程度

長引く角膜の炎症とは?

ウイルス性結膜炎後にみられる角膜の白い濁り(角膜浸潤)

流行性角結膜炎で特に問題となるのが、感染が角膜に波及して角膜に現れる白い斑点です。約0.2〜1mmくらいの丸い斑状の濁りが、十数個程度見られることが多いです。

角膜浸潤(かくまくしんじゅん)角膜上皮下混濁(かくまくじょうひかこんだく)と呼ばれます。

これは、角膜表層に侵入したウイルスと戦ったリンパ球などの免疫細胞が、ウイルス排除後も角膜に残り免疫反応が持続することで透明なコラーゲン配列が乱れて濁りになっていると考えられています。この濁りが視界にかかると、以下の症状が出ます。

  • 視界のかすみ
  • まぶしさ
  • 視力低下

このため、流行性角結膜炎は、完全に治ったかどうか経過をみることが大切です。

ウイルス性結膜炎の検査内容|検査では何をするの?

眼科では以下のような検査を行います。

細隙灯顕微鏡検査

結膜と角膜の状態を観察して、結膜炎の所見の程度や特徴、および角膜所見の有無を調べます。

アデノウイルスの迅速検査

アデノウイルス迅速検査キットによる結膜炎の検査

必要に応じて行います。この検査は、感度が低めであるため、陰性と出ても、これらウイルス性結膜炎であることを否定できないため、結局、同様の治療と注意事項を遵守する必要があります。

ウイルス性結膜炎の治療と感染予防対策

ウイルス性結膜炎は、治療と感染予防対策を車の両輪のように進めることが大切です。

ウイルス性結膜炎の治療

必要に応じて抗生物質と抗炎症薬の点眼治療が行われます。

抗生物質点眼薬(細菌の二次感染予防)

ウイルス感染によって目の表面のバリア機能が低下し、細菌による二次感染が起こり、結膜炎が悪化することがあります。この場合、抗生物質(抗菌薬)の点眼が処方されます。ただし、抗生物質点眼を不適切に使用すると、耐性菌を生じるリスクが増えますので、主治医の指導に従いましょう。

抗炎症点眼薬

炎症を抑えるために、低濃度ステロイド点眼や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)点眼が使用されることがあります。

殺菌消毒薬

対症療法としての治療に加え、ポビドンヨードを含む殺菌消毒点眼薬が補助的に用いられる場合があります。
このような点眼薬は、薬局やドラッグストアで購入できる製品もありますが、使用にあたっては医師の指導のもと、製品ごとの適応や用法・用量を守って使用することが重要です。

※関連記事:殺菌消毒用点眼薬 サンヨード(要指導医薬品)について

ウイルス性結膜炎の感染予防対策:学校、職場、家庭内

ウイルス性結膜炎は、人が集まる学校や職場で集団感染を起こすという社会的問題があり、感染予防の対策が必要です。学校、職場、家庭内でそれぞれみていきましょう。

感染力の持続期間

ウイルス性結膜炎は、3タイプともに発症後1週間は、非常に感染力が強く、感染症対策が重要です。抗体ができる1週間あたりから、感染力は低下しますが、結膜炎のタイプにより注意が異なります。

結膜炎のタイプで異なる注意事項

  • 流行性角結膜炎:発症後約2週間前後は感染力があるとされています
  • 咽頭結膜熱:目とのどの感染力は落ちますが、「便(べん)」の中にウイルスが一か月程度残ります
  • 急性出血性結膜炎:1週間後以降は急激に低下します

学校での感染予防対策

学校保健安全法第19条では、感染症の拡大を防ぐため、学校長は児童・生徒に対して出席停止を命じることができると定められています。流行性角結膜炎や咽頭結膜熱は出席停止の対象となり、感染のおそれがなくなるまで登校できません。なお、この期間は欠席ではなく出席停止として扱われます。急性出血性結膜炎は、流行時など学校が必要と判断した場合のみ出席停止となります。

職場での感染予防対策

学校とは異なり、職場には一律の出勤停止を定めた法律はありません。そのため、実際の出勤可否は、企業の「安全配慮義務(労働契約法)」に基づき、職場内での感染拡大を防ぐ観点から個別に判断されます。一般的には、感染力が強い時期は出勤を控えるよう求められることが多く、まずは職場に相談することが重要です。

家庭内でうつさないための対策

家庭内での結膜炎感染予防(手洗い・タオルを共有しないなどの対策)

家庭内感染を防ぐためには、以下の対策が重要です。

  • とにかく手洗いを徹底する
  • タオルや枕カバーを共有しない
  • 目を触らない意識をもつ
  • 入浴は感染者を最後にする

まとめ|多くは自然に治るが、感染対策と経過観察が重要

ウイルス性結膜炎は自然に改善する病気ですが、特に流行性角結膜炎では感染力が強く、周囲に広がりやすい点に注意が必要です。

また、症状が落ち着いた後に角膜の炎症が残り、見えにくさが続くこともあります。そのため、「重い病気」と過度に心配する必要はありませんが、自己判断で放置するのではなく、感染対策と必要に応じた治療および経過観察を行うことが大切です。

3大ウイルス性結膜炎の比較

項目 流行性角結膜炎 咽頭結膜熱 急性出血性結膜炎
通称 はやり目 プール熱 アポロ病
原因ウイルス アデノウイルス(8、19、37型等) アデノウイルス(3、4、7型等) エンテロウイルス70型等
潜伏期間 7〜14日(最長) 5〜7日 1〜2日 (最短)
結膜下出血 時に見られる あまり見られない 必発(白目が真っ赤)
全身症状 ほとんどない 高熱、のどの痛み ほとんどない
角膜の濁り 出やすい(視力低下注意)

よくある質問(Q&A)

どのくらい症状が強ければ受診すべきですか?

A. 急に目の充血や目やにが始まったらは、症状の強さに関わらず早めの受診が望ましいです。

仕事や学校はいつから再開できますか?

A. 症状がなくり、かつ医師が感染のリスクが少ないと判断したタイミングで再開できます。

コンタクトレンズはいつから使えますか?

A. 充血や目やになどの症状が完全に消失し、医師が問題ないと判断したタイミングで再開できます。特に流行性角結膜炎では角膜浸潤が遅れて出ることがあるため、症状が軽くなってもすぐの再開は避け、眼科での確認が重要です。

市販の目薬で様子を見ても大丈夫ですか?

A. ウイルス自体を治す目薬はありませんが、細菌の二次感染を防いだり、炎症を和らげるのが目薬の役割です。市販の目薬ではこれらの効果が十分でないこともあります。そのため、感染対策を含めて医師の指導を受けることが重要です。

見えにくさは後遺症として残りますか?

A.多くの場合は時間とともに改善しますが、流行性角結膜炎では角膜に炎症の跡(角膜浸潤)が残り、数週間から数ヶ月にわたり見えにくさが続くことがあります。多くは徐々に改善しますが、症状が長引くこともあるため、治療と経過観察が重要です。

家族にうつさないためにはどうすればいいですか?

A.タオルや枕カバーの共用を避け、手洗いを徹底することが重要です。特に目を触った手でドアノブやスマートフォンに触れることで感染が広がるため、接触感染対策が基本になります。

この記事を監修した医師

株式会社Personal General Practitioner代表取締役社長/医学博士・眼科専門医

板谷 正紀

京都大学医学部卒業。以後20年間、京都大学および米国ドヘニー眼研究所で網膜と緑内障の基礎研究と臨床、手術に取り組む。 京都大学では眼底の細胞レベルの生体情報を取得する革新的診断機器「光干渉断層計(OCT)」などの開発と普及に貢献する。 複数の産学連携、医工連携プロジェクトを企画推進し、2003年文科省振興調整費「産官学共同研究の効果的推進」に選ばれる。 医師でのキャリア35年。増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症、緑内障などの難症例の手術治療を得意とする。

英語論文148報(査読あり)
著書『OCTアトラス』、『OCT Atlas』、『Everyday OCT』、『Myopia and Glaucoma』、『Spectral Domain Optical Coherence Tomography in Macular Diseases』

株式会社Personal General Practitioner(PGP)https://pgpmedical.com

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