緑内障はセルフチェックでわかる?気づきにくい視野異常の確認方法

緑内障は、日本における中途失明原因の第1位とされる疾患です。

しかし初期の緑内障は自覚症状がほとんどなく、「気づいたときには進行していた」というケースも少なくありません。
そのため近年、「自宅でできるセルフチェック」に関心が高まっています。

本記事では、セルフチェックの方法とその限界について、眼科専門医の視点から解説します。

緑内障とは?気づきにくい理由と失明リスク

緑内障とは、視神経が障害されることで視野が徐々に欠けていく病気です。早期に発見できるほど、治療により目を守れる可能性が高くなる病気です。

ところが、緑内障は自覚症状が乏しく、自分で気が付くのが難しいという特徴があります。その理由は、人は両目で見ているため、左右の視野が補い合って、視野の欠損に気がつきにくい傾向にあります。

さらに人間の脳は欠けた視野を補完する働きがあるため、ますます日常生活の中では異常に気づきにくいのです。このため、緑内障は、検診や他の目の病気での眼科受診をきっかけとして眼科を受診して発見されることが多いのです。

緑内障について詳しく知る

自宅でできる緑内障セルフチェック方法

忙しくてすぐに受診できない方にとって、自宅での視野のセルフチェック法があると助かりますね。眼科に行こうと思える「気づき」の第一歩になる可能性があります。

いくつかの方法が知られていますが、どの方法にも共通するセルフチェックの第1の基本は、「片目ずつ行う」ことです。つまり片目を隠してチェックします。第2の基本は、「正面の中心の一点を見つめる」ことです。そして、周囲の見え方に違和感がないかを確認します。

では、すぐ始められる代表的な方法を簡単なものから順にご紹介します。

片目チェック

この方法は、今すぐできる簡便な方法ですが、大きな視野欠損しか検出できない可能性があります。

番号 チェック項目
1 片目ずつ交互に隠して行う
2 正面の一点を見つめる
3 視界の端に違和感がないか確認

チェックポイント

  • 見えない部分がある
  • 左右差がある
  • 視界が狭く感じる

対座法(簡易視野チェック)

本来は、検査する人と向かい合って行う対座法を一人で行う方法です。指や点眼瓶の蓋を指標として用いるため、片目チェック法よりも精密ですが、視野欠損が大きくないと検出できない可能性があります。

番号 チェック項目
1 壁の1点を決めてまっすぐ向く
2 片目を手で隠す
3 もう片方の目で、決めた1点を見つめたまま、周囲に指や点眼瓶の蓋を動かす
4 中心から外れた場所で、これらの指標が見えにくい場所がないか確認する

チェックツールを使う

自分でできる視野検査用のツールを用いるセルフチェック法は、視野異常の検出力が比較的高く、早期の緑内障でも視野異常を発見できる可能性があります。

代表的なツールを3つ紹介します。3つとも以下の参考サイトから体験できますのでお試しください。
※参考サイト:アイフレイル

アムスラーチャート

格子状の図の真ん中を見て異常な見え方を検出する検査です。視野欠損だけではなく、黄斑疾患の発見にもつながります。

ただし、この方法は「中心視野」のチェックに向いていますが、「周辺視野」異常は検出できません。

番号 確認項目
1 目から30cm位アムスラーチャートをはなす。メガネやコンタクトレンズはつけて検査する
2 片目ずつ、格子の中央の黒い点を見る
3 中心や周囲の線がゆがむ、中心が見えない、周囲の線が欠けて見えるなど、おかしな見え方がないか確認する

アムスラーチャートを使用してチェックを始める

視野チェックシート「クロックチャート」

ひまわりのまわりに、大小さまざまな4種類の生き物が描かれています。ひまわりの中心部分を見つめながら、チャートを回転させていき、生き物が見えない場所があるかどうかを確認することで、視野欠損を見つけるツールです。これにより周辺視野の異常を検出できます。

また、ひまわりの中が格子状になっており、この格子のやひまわりの花びらにみえにくい場所な無いかどうか?格子状の線がゆがんで見えていないか?をチェックすることで、中心視野の異常や黄斑機能の異常を検出できるようになっています。

クロックチャートを使用してチェックを始める

視野セルフチェック「クアトロチェッカー(R)」

ちらつく光(高速に点滅する丸い光)が、4つずつ、視野のさまざまな部位に現れます。見えた光の個数を答えていくことで、この光が見えない部位を発見できることがあります。

クアトロチェッカー(R)を使用してチェックを始める

セルフチェックの限界と眼科検査の重要性

セルフチェックは、自宅で、簡単かつ短時間ででき、眼科受診するきっかけになりますので、便利です。異常を感じたら、眼科を受診して検査を受けていただくことで、緑内障を発見する機会になりえます。しかし、セルフチェックで異常を感じないからといって、緑内障あるいは視野異常を否定することはできません。

その理由は、精度が低いからです。ご紹介したツールは、比較的精度が高く、初期緑内障の視野異常を検出できる場合もありますが、完全ではありません。

セルフチェックで異常を感じない場合でも、40歳を目安に眼科で緑内障検査を受けていただき確認するのが確実な方法であることは間違いありません。特に、家族に緑内障がいる方や、近視が強い方は、緑内障リスクが高いため、眼科受診が推奨されています。

まとめ:セルフチェックは「気づき」、診断は「医療」

セルフチェックはあくまで入口、あるいは眼科受診のきっかけづくりです。日常の中でかんたんにできるので、トライしてみて異常を感じれば、早く眼科受診しましょう。

しかし、セルフチェックで異常を感じないために、かえって眼科受診のタイミングが遅れてしまうと、本末転倒です。セルフチェックでは、異常があっても気が付けないことがあることは忘れないようにしてください。

そのような位置づけで、セルフチェックを使っていただくと、緑内障や目の異常の早期発見が増えると考えられているのです。

よくある質問(Q&A)

セルフチェックで異常がなければ安心ですか?

A. 初期の緑内障は検出できないことがあるため安心とはいえません。

緑内障で視野が欠けたら手遅れですか?

A. 進行を抑えて視野を守ることは可能です。このため早期発見が重要です。

緑内障の検査は何歳から受けるべきですか?

A. 眼科関係の学会では40歳以上で検査を受けることが推奨されています。家族に緑内障の方がいる方、近視が強い方は、それよりも早く検査を受けることが望ましいです。

緑内障は治りますか?

A. 完治は難しいですが、進行抑制は可能です。

痛みがないのに受診する必要はありますか?

A. 緑内障の多くは痛みを伴わないため、セルフチェックで異常を感じたらたとえいた身がなくても眼科受診をしましょう。

この記事を監修した医師

株式会社Personal General Practitioner代表取締役社長/医学博士・眼科専門医

板谷 正紀

京都大学医学部卒業。以後20年間、京都大学および米国ドヘニー眼研究所で網膜と緑内障の基礎研究と臨床、手術に取り組む。 京都大学では眼底の細胞レベルの生体情報を取得する革新的診断機器「光干渉断層計(OCT)」などの開発と普及に貢献する。 複数の産学連携、医工連携プロジェクトを企画推進し、2003年文科省振興調整費「産官学共同研究の効果的推進」に選ばれる。 医師でのキャリア35年。増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症、緑内障などの難症例の手術治療を得意とする。

英語論文148報(査読あり)
著書『OCTアトラス』、『OCT Atlas』、『Everyday OCT』、『Myopia and Glaucoma』、『Spectral Domain Optical Coherence Tomography in Macular Diseases』

株式会社Personal General Practitioner(PGP)https://pgpmedical.com

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