マイボーム腺機能不全

コンタクトレンズの装用感を悪くする
マイボーム腺機能不全

「ドライアイ」という言葉は有名になりましたが、「マイボーム腺機能不全」という言葉は、まだあまり知られていません。実は、ドライアイの原因の86%がマイボーム腺機能不全となります。

ドライアイと聞くと、「目が乾く=涙が足りない」と思いがちです。しかし、涙が足りないタイプは少数派で、マイボーム腺機能低下により油分が低下し、涙の蒸発が亢進して乾くタイプの方が多いことが分かってきています。

実は、コンタクトレンズはマイボーム腺機能不全の原因になります。つまり、コンタクトレンズによりマイボーム腺機能が低下してドライアイが強まり、そしてコンタクトレンズの装用感が悪化するという悪循環が生じうるのです。

マイボーム腺機能不全をしっかりと理解して、快適なコンタクトレンズライフを送れるようにしましょう。

目の潤いに大切なマイボーム腺

角膜は血管がない透明な組織であるため、角膜の表面は涙から栄養を供給されています。そのため、涙の膜が角膜表面を覆う仕組みになっています。

この涙の膜は、0.01mm~0.04mmと薄く、すぐ蒸発してしまいます。そこで、まぶたのマイボーム腺から油分が供給されて涙の膜の表層を覆い、水分の蒸発を防いでいます。これが目の潤いの仕組みです。

コンタクトレンズはマイボーム腺機能を低下させる

マイボーム腺は、上下のまぶたに多数存在し、まつげの付け根のすぐ内側に油を分泌する開口部があります。この開口部のひとつが完全に詰まる、いわゆる「ものもらい」になります。完全に詰まらなくても、脂の分泌が悪くなると涙の水分の蒸発が亢進して「ドライアイ」になります。

このようにマイボーム腺機能不全の脂分泌機能が低下することを、マイボーム腺機能不全といいます。マイボーム腺機能不全の危険因子はコンタクトレンズ装用者、男性、高齢、脂質異常症の内服をしている人などです。

図のようにマイボーム腺は、まぶたの裏側にあるため、まばたきの度に、コンタクトレンズから機械的刺激を受けます。また、2weekや長期装用ソフトコンタクトは、十分にこすり洗いをしないと細菌や老廃物が付着して、結膜を含むまぶたに慢性的な炎症を引き起こしマイボーム腺機能不全を悪化させます。

このように、【 コンタクトレンズ → マイボーム腺機能不全(ドライアイ) → コンタクトレンズ装用の不快感/トラブル 】という悪循環を生じてしまうのです。

治療は「マイボケア」

眼瞼に慢性的な細菌感染が起きてマイボーム腺機能不全になっているような場合は、特殊な抗菌点眼薬で炎症を抑えます。

しかし、加齢やコンタクトレンズによるマイボーム腺機能不全そのものに対する特効薬はないため、マイボーム腺の健康を取り戻し、その機能を回復・維持するための日々のケア(マイボケア)が推奨されています。具体的には、次の2つを組合わせます。

温罨法:まぶたとその周囲を、ホットアイマスクで温めるケアです。マイボーム腺の脂を溶かして流れやすくする効果と、まぶたの血流を改善する効果が期待できます。

眼瞼清拭(リッドハイジーン):眼瞼縁は汚れやすい場所です。眼瞼清拭は、眼瞼縁に固まったマイボーム腺の変性した脂や角化物を除去し、目に見えぬ常在菌(主にぶどう球菌)の菌量を減らし、眼瞼縁を清潔に保ちます。マイボーム腺が新たに詰まりにくくなり、滞った脂の排出を促します。専用の液体石鹸を用いて、指のはらで睫毛の根元周囲を優しくマッサージするように行います。

マイボケアは、毛髪のシャンプーや歯磨きのように、日常に取り入れ習慣化することが大切です。

この記事を監修した医師

株式会社Personal General Practitioner代表取締役社長/医学博士・眼科専門医

板谷 正紀

京都大学医学部卒業。以後20年間、京都大学および米国ドヘニー眼研究所で網膜と緑内障の基礎研究と臨床、手術に取り組む。 京都大学では眼底の細胞レベルの生体情報を取得する革新的診断機器「光干渉断層計(OCT)」などの開発と普及に貢献する。 複数の産学連携、医工連携プロジェクトを企画推進し、2003年文科省振興調整費「産官学共同研究の効果的推進」に選ばれる。 医師でのキャリア35年。増殖糖尿病網膜症や増殖硝子体網膜症、緑内障などの難症例の手術治療を得意とする。

英語論文148報(査読あり)
著書『OCTアトラス』、『OCT Atlas』、『Everyday OCT』、『Myopia and Glaucoma』、『Spectral Domain Optical Coherence Tomography in Macular Diseases』
株式会社Personal General Practitioner(PGP)https://pgpmedical.com

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