低濃度アトロピン目薬

濃度が低いアトロピン点眼薬が
近視進行予防として実用化

学童期の近視進行予防に、低濃度のアトロピン点眼薬が用いられるようになりました。1%アトロピン点眼薬は眼科ではなじみの深い点眼薬で、昔から近視進行を抑制することが分かっていましたが、瞳が開く作用のために副作用が強すぎて、日常には使うことができませんでした。

シンガポールでアトロピン濃度を下げて比較する研究が行われ、その結果、近視抑制効果が保たれ、かつ副作用が問題ない濃度として分かってきたのが 0.01% です。0.01% アトロピン点眼薬が「マイオピン」としてシンガポールで使用され、日本でも輸入して使用するクリニックが増えています。就寝前に1回点眼するだけの簡単な治療です。

アトロピン目薬は濃度が決め手

濃度の高い1%アトロピン点眼液は、80%もの近視進行抑制効果があることが報告されていました*。

しかし、1%アトロピンは散瞳、調節障害などの副作用が強く、日常使用は困難で普及しませんでした。そこで、1% / 0.5% / 0.1% / 0.01% のアトロピンを比較した臨床試験が行われ、低濃度の0.01%アトロピンが抑制効果を2年間で60%で維持しながら、副作用がほとんど無いことが証明されました**。

この0.01%アトロピンが「マイオピン」という名称の点眼液として使用されます。しかしその後の追加研究で、より長い期間では、0.01%アトロピンは近視進行予防効果は十分とは言えないことも示され、0.025%の高濃度も使われるようになっています。

さらには、オルソケラトロジーと併用するとより高い近視進行予防効果があることが分かってきました。

*Chua, W. H. et al. Atropine for the treatment of childhood myopia. Ophthalmology 113, 2285–2291. https ://doi.org/10.1016/j. ophth a.2006.05.062 (2006).

**Chia, A. et al. Atropine for the treatment of childhood myopia: safety and efficacy of 0.5%, 0.1%, and 0.01% doses (atropine for the treatment of myopia 2). Ophthalmology 119, 347–354. https ://doi.org/10.1016/j.ophth a.2011.07.031 (2012).

アトロピン目薬のメリット・デメリット

画像引用:Eye-Lens Pte Ltd

低濃度アトロピン点眼治療は、副作用がほとんどない、安全性の高い治療です。就寝前に両目に一滴ずつ点眼するだけで禁止進行を遅らせる効果があります。この手間がかからないことは継続する上でメリットです。

一方で、毎日欠かさず点眼することは根気が必要です。最低でも2年間は継続が必要です。

濃度の濃い1%アトロピンは、瞳孔がひらき続けることによる眩しさや近方の見づらさ、目の痒みや充血、全身作用として動悸や喉の渇きなどの副作用があります。

低濃度にすることで、これらアトロピンの副作用はほとんどなくなりましたが、個人差があり、稀にこのような症状が出ることがあります。

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