強い近視の人生行路【3】シニア世代のできごと

目の健康ブログ

シニア世代

―登場人物―

  1. 歯科医のNさん(60)歳):「急に真ん中が見えなくなった(黄斑出血)」
  2. 主婦のMRさん(65歳):「突然、見えなくなった(黄斑円孔網膜剥離)」
  3. 旅行な好きなCAさん(70歳):「見えにくい場所が徐々に真ん中にまで広がった(脈絡網膜萎縮)」
  4. 愛犬と暮らすMOさん(72歳):「視野が狭くなり愛犬との散歩が怖くなった(近視性視神経症)」

―旅を終えて―

第1話「急に真ん中が見えなくなった(黄斑出血)」

ある日の場面

歯科医のNさんは、60歳になったある日、右目の視界の中心が急に見えなくなりました。びっくりして眼科を受診しました。すると、目の奥の網膜の中心部にある黄斑と言うところに出血があると言われ写真も見せられました。

Nさん
「前にも、白目に出血したことがあります。」
先生
「それは『結膜下出血』といって問題ない出血です。今回は、『黄斑出血』といいますが、黄斑は視力を司るところなので、ここに出血が起こると視力が低下します。」
Nさん
「立体感が無く仕事に支障がありますので、早く治したいと思います。」
先生
「黄斑出血には、2パターンあり、そのパターンによって経過は異なります。。一つは、『単純出血』といって網膜のブルッフ膜という土台に亀裂が入って、その奥の脈絡膜毛細血管板という毛細血管から出血する場合です。これは一時的な出血なので様子を見るだけで出血が吸収されて視力が回復する場合がほとんどです。」
先生
「もう一つは、そのブルッフ膜の亀裂から『脈絡膜新生血管』と呼ばれる新しい血管が網膜の下に伸びてきて、それが破れて出血する場合です。こちらは、やっかいで、自然に回復することはなく、何もしないと視力は悪化し、見えない場所が拡大していきます。このため、脈絡膜新生血管を抑え込む治療が必要です。」
Nさん
「私は、どちらですか?」
先生
「(OCTの画像を見せながら)これはNさんの黄斑の断層像です。このように網膜の下に反射の強い塊が見えます。これは『脈絡膜新生血管』と思われます。確かめてみましょう。」

Nさんは、別の日に「蛍光眼底造影」という検査を受けました。「蛍光眼底造影」は、腕から蛍光色素を注射して眼底を撮影します。すると、出血部位に蛍光剤が塊となって溜まっている様子が映し出されました。

先生
「この白い塊が『脈絡膜新生血管』で、これが破れて出血を起こしたと考えられます。治療が必要です。」
Nさん
「どんな治療ですか?」
先生
「『抗VEGF薬』というお薬を目の中に注射する治療です。VEGFとは、新しい血管を作ったり、血管から血液成分を漏れやすくする働きがあります。『抗VEGF薬』は、それを抑え込む効果があります。」

Nさんは、『抗VEGF薬』を目の中に注射する治療を3回受けました。脈絡膜新生血管は沈静化し、黄斑出血は徐々に吸収され、視力が改善しました。元のように歯科の治療ができるようになったとのことです。

解説

近視が強い方は視力を司る黄斑に出血を起こして見えなくなることがあります。これを『黄斑出血』と言います。原因は『後部ぶどう腫』です。

近視が強い方の90%の方は、40歳を過ぎると目の奥だけが風船のように膨らんでいきます。目の中から見ると、くぼんでいくように見えます。このくぼみを『後部ぶどう腫』といいます。『後部ぶどう腫』のなかでは、目の壁が引き延ばされて薄くなっていきます。すると、網膜と網膜に栄養を運んでいる脈絡膜血管の間にあるブルッフ膜という膜に裂け目が生じます。その時に、ブルッフ膜に接着している脈絡膜毛細血管板から出血を起こすことがあります。これが「単純出血」です。この出血はすぐ止まり、自然に吸収され視力が改善することが多いため、様子をみます。その後、その裂け目を通って脈絡膜から新しい血管が網膜の裏側に生えることがあります。これが『脈絡膜新生血管』と呼ばれているもので、ここから出血します。この場合は、出血源となる『脈絡膜新生血管』が自然には消えないため、出血が持続し、時間が経つと黄斑部の網膜の土台の萎縮が拡大して、見えない範囲が広がり、高度の視力障害を招きます。このように、同じ『黄斑出血』でも、『脈絡膜新生血管』があるか無いかで、予後が異なります

『脈絡膜新生血管』を認めた場合は、できるだけ早く治療が必要です。この脈絡膜新生血管を抑える薬が「抗VEGF薬」で、目の中に直接打ち込んで効かせます。VEGFは、Vascular Endothelial Growth Factor(血管内皮増殖因子)の略で、加齢黄斑変性、増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫など複数の眼底疾患で増加して、血管の水漏れや出血を引き起こします。「抗VEGF薬」は、VEGFを中和する分子標的薬です。ほとんどの人は、この注射を数回打てば、脈絡膜新生血管が不活化し、出血や水漏れが止まり、視力改善を得ます。

✓黄斑出血についてもっと詳しく ➡ 黄斑出血
✓後部ぶどう腫についてもっと詳しく ➡ 後部ぶどう腫形成が招く黄斑の破綻近視が強くなると眼球の後ろが飛び出てくる?

第2話「突然、見えなくなった(黄斑円孔網膜剥離)」

ある日の場面

主婦のMRさんは、65歳のある日、急に右目の視界の真ん中が全く見えなくなり、徐々に見えない範囲が広がっていくのを感じました。MRさんは、若い頃から、近視がとても強く不便に耐えてきました。白内障が早く出て見えずらくなり、40代に白内障手術を受けました。白内障手術で手元にピントが合うように眼内レンズを選び、強い近視は解消され楽に良く見えるようになったと喜んでいました。その後、見えにくくなることはありましたが、メガネを変えれば見えるようになるため安心していました。突然の異常に怖くなったMRさんは、専門医を探して受診したところ、『黄斑円孔網膜剥離』という病名を伝えられました。

先生
「(OCT検査画像を見せながら)これは眼底の断面図です。これが網膜で、これが網膜の土台です。正常では、網膜は土台に接着しているのですが、MRさんの右目は網膜が土台から離れていますね。これを網膜剥離と言います。そして、網膜の中心にある黄斑のこの部分に孔があいていますね。これが、網膜剥離の原因となった孔で「黄斑円孔」といいます。近視が強くない目にも「黄斑円孔」は起きますが、剥離にはなりません。このように、「黄斑円孔」から網膜剥離になるのは、近視が強い方だけです。通常の網膜剥離と区別して、『黄斑円孔網膜剥離』と呼ばれています。手術が必要です。」
MRさん
「難しい話ですね。若い頃から自分の目は弱いとあきらめていましたが、急に見えなくなるなんて思ってもみませんでした。なんでこんな目に合うのかしら?」
先生
「MRさんの目の前後の長さ、「眼軸長」と言いますが、これを測ってみると、30.7cmでした。26.5mmを超えると「強度近視」といいますが、30mmを超えると、目の奥の重い病気になるリスクが高まります。最近でも、メガネの度数が合わなくなりメガネを定期的に新しくしていませんでしたか?」
MRさん
「はい。なぜご存じですか?」
先生
「実は、近視が強い方は、40歳を超えるころから目の奥だけが少しずつ突出していく変化が始まります。このため、さらに近視が強まっていきます。この変化を「後部ぶどう腫」といいます。この後部ぶどう腫が、さまざまな黄斑の病気を引き起こします。MRさんは、この後部ぶどう腫が深いため、『黄斑円孔網膜剥離』になったと思います。」
MRさん
「結局、近視が強いのが良くないということですね。自分の目は、これで行くしかないので、手術を頑張ります。」

MRさんは、硝子体手術という手術を受け、手術のあと1週間下向き姿勢を頑張りました。結果は良好で黄斑円孔はふさがり、網膜剥離は半年ほどで消失しました。

解説

「黄斑円孔」という病気があります。この病気は、網膜の中心にあり視力を司る黄斑の真ん中に孔が開く病気です。近視であるないに関わらず起きる病気ですが、通常は網膜剥離を続発することはありません。ところが、近視が強く後部ぶどう腫がある目に「黄斑円孔」が起こると網膜剥離になりやすいのです。

その理由は、後部ぶどう腫は40歳以降という成人の目に起きる変化であるため、胎児や子供の目のように柔軟にバランスよく変化せず、網膜血管や網膜表面の内境界膜など網膜の伸びにくい組織と、網膜の土台にある脈絡膜や強膜など伸びやすい組織が引っ張り合いをしてしまいます。つまり、網膜はいつも土台からはがれる方向に引っ張る力が働いています。その力に負けず網膜はなんとか土台にくっいている状態ですが、黄斑円孔が開いてしまうと、引っ張る力に負けて、その孔から目の中の水分が網膜の裏側に入り込んで、網膜は土台から剥離してしまうのです。

後部ぶどう腫の中で網膜が土台からはがれる方向に引っ張られて網膜に起きる一連の病気を「近視性牽引黄斑症」と呼ぶことになっています。

通常の黄斑円孔の手術は、硝子体手術という手術により100%近く孔を閉じることができます。しかし、黄斑円孔網膜剥離の場合は、この網膜に土台からはがれる方向に力がかかっているため標準的な硝子体手術では治りにくく、何度も手術を受ける場合もあり、患者さんの苦労が大きい病気でした。治癒率を上げるためさまざまな努力が行われてきましたが、最近では黄斑円孔に蓋をする高度な特殊手技を追加することで治癒率が向上しています。

✓黄斑円孔網膜剥離についてもっと詳しく ➡ 黄斑表面が引っ張られて壊れる
✓後部ぶどう腫についてもっと詳しく ➡ 後部ぶどう腫形成が招く黄斑の破綻近視が強くなると眼球の後ろが飛び出てくる?

第3話「見えにくい場所が徐々に真ん中にまで広がった(脈絡網膜萎縮)」

ある日の場面

旅行が好きなCAさんは、子供のころから近視が強く、右目の方が、左目よりより強い近視でメガネが不便でした。40代に徐々に視力が低下して47歳の時に白内障手術を受けたところ、視力が良くなっただけではなく、右目と左目のピントがそろいメガネなしで遠くが良く見えるようになりました。白内障手術を執刀した医師からは、「白内障の治療は経過がとてもいいです。ただし、近視が強い方に起きる網膜の萎縮が部分的にありますので、定期的に経過を見ていきましょう。」と言われたことがあります。CAさんは、あこがれだったメガネなしで良く見える生活を実現でき、旅行を楽しむ日々を送っていました。そして、つい、その眼科にも足が遠のいていました。70歳になったある日、字が読みにくいと感じ始めました。両目だと何とか読めますが。効き目の右目だけだと字の上の方が見えにくいのです。心配になって、久々に眼科に行くと、医師は、辛そうな表情で説明を始めました。

先生
「(眼底写真を見せながら)これはCAさんの右目の眼底写真です。地図のように見えると思います。白っぽい部分が血液が通っていない部位で『脈絡網膜萎縮』といいます。網膜とその土台の脈絡膜が萎縮して、その奥にある強膜が透けて見えるので白っぽいのです。その周りは血液が通っている網膜で赤っぽく見えます。」
CAさん
「20年前の診察を思い出してきました。20年前より悪くなってますか?」
先生
「はい。20年前は『脈絡網膜萎縮』が黄斑の中心から離れていましたが、今回は『脈絡網膜萎縮』が広がり中心部に届いています。このため、視力が低下しています。」
CAさん
「治せますか?」
先生
「残念ながら今のところ効果のある治療法がありません。進行を止めたり、遅くしたりする方法も無いのが現状です。」
CAさん
「えっ!?見えなくなってしまうのですか?」
先生
「右目は、ゆっくりですが進行して視力低下が進んでいくと予想されます。しかし、左目の脈絡網膜萎縮は右に比べ軽度で、網膜の中心から離れていますので、左目は見えなくなる可能性は低いでしょう。左目の方が右目よりも近視が弱かったので、脈絡網膜萎縮は軽度ですんだんだと思います。」

CAさんは、治療法がないと聞いて、絶望的な気分になりましたが、左目は大丈夫と聞き、気を取り直しました。CAさんは、その後は、定期的に眼科を受診し、近視の強い目に起きる他の病気が出てこないかどうかを見張ってもらっています。

解説

近視が強くなるほど起こりやすい『脈絡網膜萎縮』は、進行は極めてゆっくりですが、萎縮して血液が通わなくなった部分を回復させる治療法は今のところありません。それどころか、進行を止める、あるいはスローダウンさせる方法も無いのです。これが、患者さんにとっても、医師にとっても辛いところです。実際、この近視が強い目に起きる『脈絡網膜萎縮』は日本の失明原因の5位を占めています。

原因は、これまで繰り返し説明しました『後部ぶどう腫』です。40歳以降の大人の眼球の奥が飛び出していくため網膜やその土台が薄く引き伸ばされ、ところどころ組織を維持できなくなり破綻します。破綻した部位は萎縮して血が通わなくなります。『後部ぶどう腫』により引き起こされる黄斑の病気は、Nさんの黄斑出血やMOさんの黄斑円孔網膜剥離などいくつかありますが、いずれも治療法がありました。しかし、『脈絡網膜萎縮』だけ治療法が無いのです。

CAさんは、左目が右目より近視が弱いため『脈絡網膜萎縮』も軽症で、両方の目が見えなくなる可能性は低いことが不幸中の幸いでした。しかし、両方の目が『脈絡網膜萎縮』によって見えなくなる方がいることが現実です。

では、治療法がなく、進行も抑えられない脈絡網膜萎縮による失明を減らしていくのはどうしたら良いでしょうか?答えは、『子供の時に近視を強くしない』に尽きます。一般に、屈折で-10ジオプター以上の近視、または眼軸長で30mm以上の近視になると脈絡網膜萎縮のリスクが高まると考えられています。CAさんも、左目の近視が右目より軽いので、脈絡網膜萎縮が軽症で済んだのです。少しでも近視を強くしないことの大切さを教えられました。

✓もっと詳しく ➡ 近視が強くなると失明するって本当?
✓後部ぶどう腫についてもっと詳しく ➡ 後部ぶどう腫形成が招く黄斑の破綻近視が強くなると眼球の後ろが飛び出てくる?

第4話「視野が狭くなり愛犬との散歩が怖くなった(近視性視神経症)」

ある日の場面

MOさんは子供のころから近視が強くて苦労してきました。人より早く白内障になって40代で手術を受けました。その後はずっと順調で、良く見えていましたが、何年か前から視界が狭い感覚があり、愛犬との散歩で怖い思いをすることが増えてきました。72歳の時、意を決して近くの眼科を受診し、視野検査を受けると視野が狭くなっていることが分かりました。

主治医からは、「かなり強い視野障害があり、緑内障かもしれません。しかし、近視が強いため『近視性視神経症』の可能性もあります。区別が難しいので、専門の大学病院を紹介します。」と言われ、紹介状を受け取りました。

紹介された大学病院を受診すると、大学の主治医は、『近視性視神経症』の可能性が高いと告げました。

先生
「(眼底写真を見せながら)近視がお強いため眼底に『後部ぶどう腫』と呼ばれているくぼみができています。これは近視が強い方に起きやすい変化です。この構造的変化のため目と脳を結ぶファイバーの役割をしている網膜神経線維というものが機械的にダメージを受けて減少しています。」
MOさん
「緑内障ではないのですね?」
先生
「ファイバーが減って視野障害が進むという点は、緑内障と『近視性視神経症』は共通しています。しかし、ファーバーが減るメカニズムが異なります。緑内障は眼圧の負荷が視神経乳頭と呼ばれるファイバーの出口にかかってファイバーが減ります。このため、緑内障は眼圧を十分に下げると進行を抑えられることがわかっています。一方、『近視性視神経症』は『後部ぶどう腫』が進んでいくなかでファイバー全体に引き延ばす負荷がかかってファイバーが減ります。このファイバーにかかる負荷を減らす方法はわかっていません。」
MOさん
「治療法は無いということですか?」
先生
「いえ、眼圧を下げると『近視性視神経症』の進行を抑えられる可能性はあります。眼圧が下がると、後部ぶどう腫のくぼみが和らぎ、ファイバーを引き延ばす力が弱まることが期待できるからです。ただ、緑内障のように医学的歴史の長い病気と異なり、『近視性視神経症』はこの20年で注目されるようになったことや、緑内障ほど患者数が多くないことなどが理由で、エビデンスが乏しいのも事実です。」
MOさん
「もうワンちゃんとの散歩は無理でしょうか?」
先生
「明るい時間帯に散歩する、慣れた道を中心に散歩するなど工夫をされると良いでしょう。MOさんは失明されているわけではなく、まだ視野や視力は今まで通りの生活を続けられる程度に残っています。この見えにくいけど見えるという状態を『視覚障害(ロービジョン)』といいます。『近視性視神経症』は早く進む病気ではないため、ロービジョンの状態が長く続くと思います。ロービジョンになった方が、教育や訓練や道具の活用により、日常生活と仕事をこれまでのように続けられるようにすることを『ロービジョンケア』と言います。MOさんも、ロービジョンケアを始められると良いと思います。」

MOさんは、その日から大学病院に定期的に通院するとともに、『ロービジョンケア』を受けることができる施設を紹介してもらい、熱心に訓練されています。

解説

近視性視神経症は、脈絡網膜萎縮よりは頻度は少ないですが、同じように近視が相当強い方に起きる病気です。近視が強くなるほど、目の後ろの部分が飛び出してきて後部ぶどう腫を形成します。目の中から見るとくぼんでいくように見えます。この目の後ろの部分の変形は程度や形状に個人差がありますが、視神経や網膜神経線維あるいは網膜神経線維を養う血管に異常な力が加わるように変形した場合に起きる病気と考えられています。

治療は、緑内障に準じて眼圧を下げる点眼薬を使います。緑内障は眼圧を十分に下げると進みにくいことが証明されていますが、近視性視神経症は今のところ眼圧を下げる点眼薬に効果があるかははっきりしません。今後研究が進み明らかになっていくと期待されます。

近視が強いほど緑内障になりやすいという事実もあります。緑内障と近視性視神経症は進行性の視野障害であることが共通しています。このため、この2つの病気をはっきり区別できないという課題もあります。ある研究では、目の前後の長さ(眼軸長)が、27.4mm以下の目は視野障害の有無に眼圧の高さに関係しているが、眼軸長が27.5mm以上の近視の目では野障害の有無と眼圧とは無関係と報告されています※。このことは、近視が強いほど、眼圧を下げる点眼薬の効果が低い可能性を示唆します。このことからも、子供の時に、少しでも近視を進めない努力が重要であることが分かります。

✓近視性視神経について ➡ 近視性視神経症
✓後部ぶどう腫について ➡ 近視が強くなると眼球の後ろが飛び出てくる?

Intraocular Pressure and Glaucomatous Optic Neuropathy in High Myopia

旅を終えて

いかがだったでしょうか?眼科医が日々の診療で出会う近視が強い方々が人生の中で遭遇する出来事を綴りました。事実をもとにフィクション化しています。繰り返しになりますが、ここで挙げたすべての病気を1人の方が経験するわけではありません。それぞれの病気は、手術が必要であったり、生涯点眼治療が必要だったりとけっして軽くないさまざまな苦労があることを共有させていただきました。そのなかでも、脈絡網膜萎縮と近視性視神経症は治療法が確立されておらず、失明することもある目の難病です。そして、この2つの病気は、近視が強くなるほど発症リスクが高くなることがわかっています。

この目の難病で失明する人を減らす唯一の方法が、子供の時に近視の進行をスローダウンさせることです。心配なのは、近年の子供たちは生まれた時からスマホやYouTubeに囲まれ近視の進行が加速している可能性が高いことです。一方では、近年、急速に近視進行をスローダウンさせるライフスタイルや予防治療法が明らかになってきました。この近視が強い人の人生行路をお読みになり、危機感を感じられたお父さん、お母さんは、近視進行を予防するライフスタイルや予防治療を知っていただき、1つでも実践していただければと願っています。

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